内容説明
だあれが殺したコック・ロビン?「それは私」とスズメが言った―。四月のニューヨーク、この有名な童謡の一節を模した不気味な殺人事件が勃発した。マザー・グース見立て殺人を示唆する手紙を送りつけてくる“僧正”の正体とは?史上類を見ない陰惨で冷酷な連続殺人に、心理学的手法で挑むファイロ・ヴァンス。江戸川乱歩が称讃し、後世に多大な影響を与えた至高の一品。
著者等紹介
日暮雅通[ヒグラシマサミチ]
1954年生まれ。青山学院大学卒。翻訳家。日本推理作家協会、日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
252
★★★★☆ ミステリの古典名作。 見立て殺人の元祖でもある。 もちろん非常に面白く読み応えのある作品なのだが、物理学や数学に関する深い話が繰り返される部分は好みの分かれるところだろう。 本作でも沢山の人が殺されるので最後には犯人候補はほぼ二択状態。私も「僧正」の意味が明らかになった時点で本当の犯人と動機が分かった。 しかしこの犯罪計画は少々雑ではないだろうか。特に4つ目の殺人はちゃんと見立てになってないし、殺す必要性もなかったと思う。2020/04/14
ヴェネツィア
187
高校2年生の時に、S.S.ヴァン・ダインの一連の推理小説を立て続けに読んだ。私には名探偵といえば、ホームズよりもポワロよりも、ファイロ・ヴァンスだった。その衒学趣味が気に入っていたのだ。そして、動機と事件の組み立て方の緻密さに。そうした中で、「マザーグース」とチェスを核に展開する『僧正殺人事件』こそが最高の作品だと確信していた。推理小説を読んだのは久しぶりだだが、エンディングのなんとも粋なこの小説の魅力を再確認した次第。2013/09/02
夜間飛行
149
正月はミステリに限る。だあれが殺したコック・ロビン…私ってスズメが言った。誰でも知っている童謡が殺人に結びつく不可解さ、不気味さ。これはミステリに見立てを取り入れた先駆作品だけれど、まあ、動機はサイコパスに近く、ロジックも弱い…とはいえ、コリント式円柱に飾られた玄関ポーチ、帝政様式の暖炉を持つ書斎、家と家に挟まれた弓技場(死体発見場所)など、空間構成は脳髄を刺激する。中学以来の懐かしい再読だ。会話が冗長なため所々飛ばし読んだが、(チェスの指し手からビショップ=僧正の役割を論じるなど)愉しめる所も多かった。2020/01/04
W-G
132
久しぶりに古典に挑戦。 ヴァンダインは(特に前6作)いかにも本格ミステリ!という雰囲気が好き。グリーン家なんかはそれだけで名作。 この作品もロジックは激甘だけど、世界観と童謡殺人の先駆として偉大。そして時代を越えて面白い小説だと思う。 現代の新本格系作家には、いそうでいないんですよね。こういう人2016/01/24
yu
81
Kindleにて読了。やっと読むことができた。十角館の殺人を読んでから、ずーっと気になっていたもので。他もぜひ読んでみたい。 ただ、終わり方がちょっと。。。個人的には美しくないと感じる。2018/11/11