感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
195
資産家の老女がいて、カシノ経営者の弟には一銭も遺したくない。老女の息子(カシノ経営者の甥)は叔父と憎み合っており、ある日叔父のカシノで大勝ちするが、ツキが傾いた所で誰かに毒を盛られる。彼は一命を取り留めるが家では同時刻に彼の妻が同じ方法で毒殺され(ただし傍に遺書あり)、もう一人毒を盛られた彼の妹は一命を取り留める。こうして一人が死に二人が生き残った事件に皮肉屋の探偵ヴァンスが立ち合う。そもそも彼を招いた手紙からして計画性を感じさせ、至る所に偽装の臭いがする。後期ヴァン・ダインにしては予想外の面白さだった。2024/01/11
LUNE MER
24
毒殺が今回のコンセプトだが、ラストの犯人との対決が一番の見せどころ。ヴァンス達に銃を向けて「始末する」と言いながらどこまでバレてるのか気になって気になってしょうがないのでヴァンスに延々と推理を語らせるのだが、「どう?俺の計画頭いいだろ?」「うん、なかなか頭いい(けど、ちゃんとそっちの思惑通りに推理してあげてなおかつその先まで読んだっつーのバ〜カ)」というヴァンスのドS炸裂のコントのようなやりとりが最高。挙句、少なくとも濡れ衣着せようという策略については探偵が早すぎる展開で見事トリック返し✨十分満足✨2022/05/18
歩月るな
15
「じゃ、これで、本をとじることにしようか」奇妙な手紙で呼び出された先で事件に遭遇するヴァンス。事件に巧妙に招き入れられた探偵役として轍を踏む事を仰せつかったわけだ。正しい筋書き通りに事が運ぶように仕向けられた、物語の役者の一人として。存外正面切って取り組んでいく感じで真っ正直にストレートな運びで、衒学趣味がほとんど無い分、ノーマルな探偵小説として楽しめる。が故に、ファイロ・ヴァンスをこんな事件に担ぎ出してその人生に幕を引かせようなどと言うのは滑稽に過ぎる。薄くて短い上に登場人物が少ない事ですっきりしてる。2018/02/17
二葉
9
かなり久々の再読。初期の頃に比べ作者の特徴は薄くなったけど、読みやすい。2020/01/11
餅屋
6
「ファイロ・ヴァンス」もの8冊目▲毒殺されたと推定され、つぎつぎに倒れる被害者。ルーレットの輪のように旋回をつづける事件、一発の銃声▼お約束になった?マンハッタンのお金持ち一家で起こる連続殺人。今回、ファイロの蘊蓄は不発!という程でもないが、なにやら不足気味。やはり歴史や芸術方面の方が楽しめる。まぁ今回は毒殺事件だし、化学や科学捜査に舵をきったということか。怪文書からの巻き込まれで、ファイロがちょこまか動き、サスペンス要素もありまっせ。ファイロらしさが薄まったのか、ヴァンが慣れ書き省いたか…(1934年)2023/11/03