感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
199
資産家の老女がいて、カシノ経営者の弟には一銭も遺したくない。老女の息子(カシノ経営者の甥)は叔父と憎み合っており、ある日叔父のカシノで大勝ちするが、ツキが傾いた所で誰かに毒を盛られる。彼は一命を取り留めるが家では同時刻に彼の妻が同じ方法で毒殺され(ただし傍に遺書あり)、もう一人毒を盛られた彼の妹は一命を取り留める。こうして一人が死に二人が生き残った事件に皮肉屋の探偵ヴァンスが立ち合う。そもそも彼を招いた手紙からして計画性を感じさせ、至る所に偽装の臭いがする。後期ヴァン・ダインにしては予想外の面白さだった。2024/01/11
雪紫
62
カジノじゃないよ、カシノだよ(でもカシノよりウォーターの方が目立つ気が)。海外古典時代で科学ミステリを描くとこうなる。水の調査と実験を絵にするとなかなか圧巻・・・。しかし、犯人との対決といい、かなりアクション寄りというか色々書き方を模索してる感がする。後期6作の出来は良くない言われてるけど、この事件はそうでもないぞ。2024/06/08
LUNE MER
27
毒殺が今回のコンセプトだが、ラストの犯人との対決が一番の読みどころ。銃を向けて「始末する」と強がりながらどこまでバレてるのか気になって気になってしょうがない犯人、ヴァンスに延々と推理を語らせ自分の計画の完成度を認めさせたいものの、「うん、悪くないね(しかし、君の思惑通りなのはお見通しで、さらにその先まで読んでいるのだがね…)」というヴァンスのドS炸裂のコントのようなやりとりが最高。挙句、せめてヴァンスに濡れ衣を着せようという悪足掻きに対しては早すぎる探偵スキルにより見事トリック返し✨十分満足✨2022/05/18
歩月るな
16
「じゃ、これで、本をとじることにしようか」奇妙な手紙で呼び出された先で事件に遭遇するヴァンス。事件に巧妙に招き入れられた探偵役として轍を踏む事を仰せつかったわけだ。正しい筋書き通りに事が運ぶように仕向けられた、物語の役者の一人として。存外正面切って取り組んでいく感じで真っ正直にストレートな運びで、衒学趣味がほとんど無い分、ノーマルな探偵小説として楽しめる。が故に、ファイロ・ヴァンスをこんな事件に担ぎ出してその人生に幕を引かせようなどと言うのは滑稽に過ぎる。薄くて短い上に登場人物が少ない事ですっきりしてる。2018/02/17
二葉
10
かなり久々の再読。初期の頃に比べ作者の特徴は薄くなったけど、読みやすい。2020/01/11
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- 和書
- グラウンドの詩 角川文庫