出版社内容情報
珠玉の推理短編を年代順に集成し、1960年初版で以来版を重ね現在に至る傑作アンソロジー『世界短編傑作集』を完全リニューアル! 第一巻は巻頭に編者江戸川乱歩の「序」を配し、1844年のポオ「盗まれた手紙」に始まり、コリンズ「人を呪わば」、ドイル「赤毛組合」、フットレル「十三号独房の問題」などを収録。オルツィ「ダブリン事件」は新訳、チェーホフ「安全マッチ」はロシア語からの翻訳に変更。新カバー、新解説。
江戸川乱歩[エドガワランポ]
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内容説明
欧米では、世界の短編推理小説の傑作集を編纂する試みが、しばしば行われている。本書はそれらの傑作集の中から、編者の愛読する珠玉の名作を厳選して全五巻に収録し、併せて19世紀否ばから1950年代に至るまでの短編推理小説の歴史的展望を読者に提供する。本巻には推理小説の祖といわれるポオから、ドイルを経て20世紀初頭のフットレルまでを収め、最初期の半世紀を俯瞰する。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894年三重県生まれ。1923年の“新青年”誌に掲載された「二銭銅貨」でデビュー。以降、「パノラマ島奇談」等の傑作を相次ぎ発表、『蜘蛛男』以下の通俗長編で一般読者の、『怪人二十面相』に始まる年少物で少年読者の圧倒的な支持を集めた。推理小説の研究紹介や、新人作家育成にも尽力した巨人である。1965年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
孤独な建築家の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
131
この全5巻のアンソロジーは旧版では数回読んでいますが、この新版が出されたということでまた楽しみが増えました。旧版ではおさめられていなかったポオ、ドイル、チェスタトンの作品をおさめたり、チエーホフの作品のように原語からの訳にした、ということもあるようです。ポオの「盗まれた手紙」が最初におさめられています。戸川さんによる「短篇推理小説の流れ」が連載で楽しめそうです。2018/10/03
buchipanda3
119
乱歩が選出した海外古典ミステリの短編傑作集。古めかしさや既視感もあるが総じて面白く読めた。既読の「赤毛組合」は奇妙さと展開の捻りの面白さで出色の作品。思考機械の「十三号独房〜」は一体どうなるのだと思っていたら最後には驚きと合点。偶然に頼る面もあるけれど絶対無いとも言い切れない。ドゥーゼンの不可解な行動がいい演出にもなっていた。「人を呪わば」も面白かった。シニカルな滑稽さが楽しい。チェーホフのは捜査権力への皮肉か。型に嵌まらないズレが面白い。盲目の医師の話は終盤の妻の感情と論理が混ざったセリフが印象深い。2020/01/24
紅はこべ
118
「盗まれた手紙」は勿論結論は知っていたが、そこに至るまでここまでめんどくさい論をしていたのを忘れていた。コリンズはやっぱり短編もいいな。アンナ・キャサリン・グリーンの短編を読む限り、『リーヴェンワース事件』も面白そう。東京創元社で出してくれるといいのに。2018/10/10
セウテス
87
【世界推理短編】シリーズ第1弾。〔再読〕新装版となり、「盗まれた手紙」「赤毛同盟」が収録された。探偵小説黎明期のミステリアンソロジーで有名な作品が多く、再読作品ばかりだが二度三度読みでも楽しめる。ジブリを知らずして、日本のアニメを語るな的な本である。誰それの密室全集やトリック全集に有った作品だ等と、ミステリの歴史を読むという側面を持っていると思う。これからのミステリの未来を探る上でも、知っている事が楽しみを増すのではないか。「思考機械の事件簿」に何故か無い、「十三号独房の問題」が読める事は本当に嬉しい。2020/08/21
HANA
65
ミステリアンソロジー集。主に探偵小説黎明期の作品を中心に編纂されている。編者が編者だけに目利きの妙も光ってるなあ。アンソロジーピースとして重要な作品も収録されているせいか再読の作品も多いが、それでも二読三読に耐えられる出来のものばかりなので楽しく読み進めれる。デュパンやホームズ、隅の老人と今でも語られる探偵は探偵小説初期から登場してたんだな、とかチェーホフが探偵小説書いてたんだなとか目新しい事も多し。今みたいに精緻を極めたような作品は少ないが、牧歌的な雰囲気を漂わせた数々の作品を十分楽しめる事が出来た。2018/10/28