出版社内容情報
真正完全版では削除された逸話も多く、
物語の配列も大きく異なる真贋入り交じった妖しい世界
多くの異本や剽窃本が存在する
『サラゴサ手稿』だが、21世紀に入り、
真正版が特定されるに至った。
本書は、それまで最も信頼されていた版の
工藤幸雄による全訳である。
ポーランド貴族ポトツキが病床の妻のために読み切ってしまった『千一夜物語』の代わりに、毎日一話ずつ書きつづったのが本作ともいわれるが、いくつもの異本が存在し、謎に満ちた存在でもあった。近年その完全版がフランスで刊行され、岩波文庫に収録されたが、本書はその完全版刊行以前の、完全版とも異なる逸話も多く含む版の工藤幸雄全訳。
内容説明
サラゴサ包囲戦中、無人の館でエスパーニャ語の手稿を発見したフランス軍士官がその後捕虜となる。彼の持つ手稿が自分の先祖の物語だと知った敵の隊長は喜び、その物語を彼にフランス語に訳し聞かせた。それを書き取ったものが本書だという。真正完全版で削除された逸話を多く収録し、物語の配列も異なる、異本の工藤幸雄訳。
目次
第一日
第二日
第三日
第四日
第五日
第六日
第七日
第八日
第九日
第十日
第十一日
第十二日
第十三日
第十四日
第十五日
第十六日
第十七日
第十八日
第十九日
著者等紹介
ポトツキ,ヤン[ポトツキ,ヤン] [Potocki,Jan]
1761年、現ウクライナ領ピクフでポーランドの大貴族の家に生まれる。作家、旅行家、歴史家、考古学者、民族学者。家庭ではフランス語で育てられ、生活語としてポーランド語、ウクライナ語、ドイツ語の他に、弟とともに送られたスイスの塾で、英語も身につけ、さらに成年までにロシア語、スペイン語、イタリア語も習得、八か国語に通じていた。本書『サラゴサ手稿』はポーランド語より通じていたフランス語で書かれたものである。1815年、自宅でピストル自殺を遂げた
工藤幸雄[クドウユキオ]
1925年、大連生まれ。ロシア・ポーランド文学者、詩人、翻訳家。東京大学仏文科卒業。アメリカのインディアナ大学大学院修士課程中退後、共同通信社外信部記者、ワルシャワ大学日本学科講師を経て、1975年に帰国。多摩美術大学教授となる。訳書に『ブルーノ・シュルツ全集』(第50回読売文学賞“研究・翻訳賞”受賞)等、訳書多数。2008年没。本書は、訳者校正の途中だった遺稿を整理したものである(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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迦陵頻之急
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