出版社内容情報
国母イスランにその才を見いだされた大魔道師ヴュルナイ。いまわのきわのイスランに国の行く末を託されたものの、王族の後継者争いで裏切りにあい、その名声も地に堕ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、無実の罪で捕らえられた若い女族長を助けるが……。魔道帝国イスリル中興の祖を描く〈オーリエラントの魔道師〉最新作。
内容説明
国母イスランにその才を見出された大魔道師ヴュルナイ。いまわのきわのイスランに国の行く末を託されたものの、後継者となった王族たちの争いで裏切りにあい、その名声も地に墜ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、無実の罪で捕らえられた若い女族長を助けるが…。これまで謎のヴェールに包まれていた、魔道帝国イスリル中興の祖を描く“オーリエラントの魔道師”シリーズ最新作。
著者等紹介
乾石智子[イヌイシトモコ]
山形県生まれ、山形大学卒業。1999年教育総研ファンタジー大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ままこ
99
〈オーリエラントの魔道士シリーズ〉は面白いなぁ。しっかり作り込まれた世界観と清濁併せ持つクセある登場人物が皆魅力的。今回はイスリル帝国中興の祖にまつわるエピソード。王殺しの濡れ衣を着せられた大魔道士ヴュルナイ。密かに名前を変えその後破天荒な生き方をしてきたが…。クライマックス後オーヴの行動はいかにも悪知恵働く彼らしい。ラストは爽快。シリーズバラバラに読んでるのでボチボチ未読の巻も読んでいきたいな。十二国記シリーズが好きな人にもおすすめの壮大なファタジー。2021/02/21
帽子を編みます
61
〈オーリエラントの魔道師〉シリーズです。大好物です、読み始めると別世界にいるのです。まさに本が開く世界です。今回も主人公の魅力が強烈です。彼がぐいぐい引っ張ってくれるのでついていくだけです。イスリルってどんな国だっけ?と忘れていながらも読み続けるうちに闇の種、開く、魔道師の繋がり、頭の中に記憶が繋がってきます。この世界に浸れる喜び、確固として描かれる世界の仕組み、様々な小物の描写、特に食べ物の美味しそうなこと、読む喜びを味わえます。今回は魔道帝国イスリルの成り立ちでした。彼の行く道をみたいと思いました。2021/07/02
星落秋風五丈原
42
《オーリエラントシリーズ》では西のコンスル帝国がメインパートの舞台だった。今回は《紐結びの魔道師シリーズ》でおっそろしい魔道師を送り込む悪役パートを担い他シリーズでサイドストーリーとして登場した東のイスリル帝国が物語の舞台になる。大魔道師の挫折と再生がテーマ。能力としては過去においてピークに達しているのでメインは精神の成長。ビルドゥングスロマンというには主人公が年を取りすぎている。見た目は中年でも言うを憚られる年齢。いい年した男がうじうじっていうのもね…という不満ははっきりしている女性キャラクターで相殺。2020/11/30
すがはら
36
狡猾だけどお人好しで、多くの人を惹き付け才覚もあるけど急な衝動で全てを台無しにすることもしばしばなオーヴ。読んでいる側としては魅力的で面白いけれど付き合わされる人達は大変です。よく見捨てずにそばにいてくれると有り難みにも気付けたようで何よりです。裏切りと失意など苦難を越えて達観とか自由とかにたどり着いたキャラは好きです。闇に呑まれる最中の時期は読んでてもウツウツとしますからねー。若者が善い国を作るために歩む出す流れも希望に満ちた終わり方で気分よく読了しました。2021/02/09
ぽてちゅう
25
重厚感あるストーリーに様々な鉱石が煌めくファンタジー、オーリエラントシリーズ。国母イスランに見いだされ、後事を託された大魔道師ヴュルナイに手渡された約束の証、白琥珀。この鉱石には理想の国家を継ぐ者を追求するヴュルナイと、理想を実現すべく国を統べる者として立つハルファリラの、覚悟を引き出すパワーがありました。今作、主人公を筆頭に登場人物に諧謔的な言動があり雰囲気変わった?と思ったのですが、太陽の光を孕んだ琥珀ならではの明るいパワーのせいだったのかも知れませんね。2021/02/08