出版社内容情報
1991年4月、雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。米澤穂信、デビュー15周年記念刊行。初期の大きな、そして力強い一歩となった青春ミステリの金字塔を再び。巻末に特別書き下ろし掌編を収録。
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
内容説明
雨宿りをする彼女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。初期の大きな、そして力強い一歩となった、鮮やかなボーイ・ミーツ・ガール・ミステリをふたたび。書き下ろし短編「花冠の日」巻末収録。
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞してデビュー。11年に『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞、14年には『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。『満願』および15年発表の『王とサーカス』は三つの年間ミステリ・ランキングで1位となり、史上初の二年連続三冠を達成した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiro
164
単行本新装版に書き下ろし短編「花冠の日」が収録されているということで、『さよなら妖精』を再読した。前回は『王とサーカス』を読んだ後、『真実の10メートル手前』を読む前に、高校生時代の太刀洗万智を知りたくて読んだ。1991年ユーゴスラビアから日本に来たマーヤと、守屋、万智、白河、文原たち四人の高校生の交流の中で起こる“日常の謎解き”が中心だが、内戦が始まったユーゴスラビアにマーヤが帰っていくという、ただの青春ミステリとは違う重みのある作品でもある。今回「花冠の日」によって、さらに考えさせられる作品となった。2017/01/28
雪風のねこ@(=´ω`=)
158
相変わらず前振りの話が本編の韻を踏む様な意味合わせで考えさせられる。衣食住足りて礼節を知るのは、真実ではあるが現実ではない。常に足りているならば、礼節を弁える必要も無いからだ。貧すれば鈍するもまた然り。ちっぽけでも人から受けた優しさを確かに憶えているのなら、鈍する事はない。光陰矢の如しと言うが、正に人の生は射られた矢の様に過ぎ去って行く。後悔する間も無く。そう言う意味で弓道のシーンが描かれていると思えるのだ。王とサーカスはネパール王族殺害事件を。本作は十日間戦争をモチーフとしている。(続く2017/06/17
nobby
127
'90年代初め、ユーゴスラヴィアから何となく予測したものの、とにかく悲しい終盤に加え、書き下ろし短編が切なすぎる…雨の中、途方に暮れるユーゴから来た美少女マーヤ。彼女が気になった日本の言葉・習慣・文化等を日常と重ねて解き明かしていく展開は面白い。何とも平穏に描かれるのに少々退屈さ感じるが、そこに物語の主題はない。第三章で実質的な謎解きパートに入ると、何が何がほぼ伏線であったことに気付かされるのは驚愕するばかり!混沌たる状況の真っ只中に飛び込みたい、留ませたい、双方の想いをヒシヒシと感じるのがやりきれない…2018/05/19
ハイランド
106
守屋と太刀洗が雨宿りするユーゴスラヴィアからの旅人マーヤに声をかけたことから始まるストーリー。私達は自分の家族や友人でもいない限り、他国の戦争に鈍感である。どんなに悲惨な状況も、テレビの向こうの、別の世界の出来事でしかない。いつ私たちの上に戦争が降りかかってくるかもわからないのに。守屋たちがわずか二か月共にしたマーヤを通じ、知る事となった遠い異国の戦争。「王のサーカス」を読み太刀洗の高校時代を知りたくて読んだのだが、予想以上に強烈な個性だった。ミステリー要素は必要を感じなかったが、物語自体は面白かった。2017/04/16
ハミング♪♪@LIVE ON LIVE
86
数年前に読んだときと随分印象が違う。当時の方が色んな意味で楽しめた。ボーナストラックが読めたのは良かったが、本編は内容変更しているのだろうか?まぁ、自分が変わったということもあるのだが。この作品のマーヤはもちろん、私の親友マーヤにも出会いたくなる。2017/05/02