出版社内容情報
「魔女」に願いを告げた少年少女たちと、彼らに関わった人々が巻き込まれた30年にわたる悲劇。教会や豪華ホテルなどで起きた事件の真相とは。連作で送る鬼才渾身の傑作。
内容説明
数々の黒い噂がつきまとう、いわくつきの一族・篁。その当主の義理の娘であり、愛人の連れ子ということで蔑まれている「私」。ある日、私は篁を狙った事件の解決を依頼しに、何でも願いを叶えてくれるチカラを持つという「教会の魔女」に会いに行く。まもなく事件は解決したかに思われたが、私が魔女に頼んだのは別の願いだった…。謎めいた魔女に願いを告げた少年少女と、彼らに関わった人々が巻き込まれた３０年にわたる悲劇。教会、学校、山間の豪華ホテル、それぞれを中心に起きた事件の真相とは？連作形式で送る、著者渾身の力作。
著者等紹介
友桐夏［トモギリナツ］
１９７６年滋賀県生まれ。２００５年、『白い花の舞い散る時間』でロマン大賞に佳作入選し、デビュー（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな（灯れ松明の火）
79
これは好みが分かれる作品でしょう。『麦の海に沈む果実』や『蛇行する川のほとり』（恩田陸）、零崎シリーズ（西尾維新）が好きだった私は結構、好きです。各短編を読みながら頭の中で関係図を何度も書き直すのは大変でしたが(笑)魔女に願うならば、その重さの分だけの本音をも言わなければならない。そうでなければ、願いは釣り合わず、不幸な形で叶わざるを得ない。本心だが、絶対に噛み合わず、叶わないだろう願いよりも妥協案を願った時点で親世代の悲劇は始まったのだろう。最も、巻き込まれた子世代からすると溜まったものではないが。2018/12/20
扉のこちら側
43
初読。2015年48冊め。excellent！著者のことはデビュー作以前の、投稿作が審査員にボロボロに言われていた頃から知っている。そのボロボロ時代に参考作として雑誌掲載された作品が、それでも突出した個性を持っていたことも覚えている。コバルトでのリリカルミステリシリーズで着実に磨かれながら、それでも一皮向けずにいたのが、一般文芸ジャンルで見事に脱皮してくれた。お得意の曰く付きの名家と、聡明で腹に一物抱えた人たちの陰謀劇。読ませてくれた。著者はいずれ何か大きな賞を射止めるんじゃないだろうか。次作にも期待。2015/01/15
むつぞー
34
曰くある一族、妾の娘として低く見られている裏窓の娘と、一族の養女とはいえ、教会で人の望みの話を聴く「教会の魔女」と呼ばれる女。 雰囲気ありのミステリアスな話から始まったと思うと一転して、小学生の少女の話へ…。 この落差は何？と思いつつも、いくつかのキーワードから接点は感じられます。 少しづつつながりが見え、そして全ての絵が見えた驚きはぜひ、読んで感じていただきたいものなので、できれば前知識なく手にしてもらいたいですね。 でもって、時系列や関係が複雑ではあるので、少しづつより一気読みがオススメです。2015/01/07
深青
19
最初の辺りは各章が全く別のお話かな？と思ってしまった。でもね…だんだん繋がってくるんだわ！そうするとだんだん流れもわかって来て、面白いんだわ！この人…実はここで出てきてるのね！やこの人がこの人だったのか！という驚きが随所に散りばめられていて面白かった。このお話は…続きがあるのかな？魔女と探偵役との直接対決をみてみたい。2014/12/01
雪紫
18
再読。何処か不審な事件や不思議な人々が篁の一族というひとつの因果に結びつくクロニクル。意外な第一話と裏側に「ああ」となり関係ない話に色々飛びながら読んでくうちに誰が誰なのか思い出したけど、それでも驚嘆せざるを得ない何処か不思議な読後感。第三話と第五話からのバートランドホテルの話が好き。作中の裏窓シリーズ気になる。2019/09/11
