出版社内容情報
港の見える丘公園、あけぼの子どもの森公園、石神井公園、航空記念公園。性別も世代も超えて、公園でしか出会えない人、公園でしか起きない奇跡を描く、あたたかで切ない、4つの物語。
内容説明
港の見える丘公園・あけぼの子どもの森公園・石神井公園・航空記念公園、そこでしか起こりえない、四つのちいさな奇跡。公園には、あちこちにたくさんの人たちの思い出が隠れている。
著者等紹介
瀬那和章[セナカズアキ]
兵庫県生まれ。2007年、第14回電撃小説大賞“銀賞”を受賞し、『under異界ノスタルジア』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さと
137
優しくソフトな印象の作品をそれぞれの公園のベンチで読んでいるような…。でも最後の作品の中の、「…なぜペガサスが飛べるかわかる?」「自分が飛べるってことを、疑ってないからだって」「自分を信じ続ければ、不可能も可能になるってことだよ」この一節でメインスイッチが入ってあらゆる機器が作動し始めた感じ。今の私にとってこれ以上のメッセージはない「自分を信じ続ければ・・・」って、いわゆる認識として頭の中の棚に飾っておくだけではもったいない。2017/05/19
へくとぱすかる
115
実に細やかな心の動き。誰でもふとしたことで陥りがちな、人生の危機を鮮やかに呈示する作品集。たとえ経験がなくても、もし自分がこんな場面に遭遇したら、同じように考え・悩み・迷うだろう。さらにリアルなのは、ご都合主義でなく、したがって結末も逆転ハッピーなどに決してならないという点。しかし、だからこそ一点の光明のような、救われる部分に共感できるのだろう。2018/04/11
おかむー
95
『港の見える丘公園』『あけぼの子どもの森公園』『石神井公園』『航空記念公園』実在の公園を舞台に4人の男女を描いた短編集。『よくできました』。タイトルと装丁のみで手にとった作品だったが思わぬ拾い物だった。小さなプライド、妬み、孤独、劣等感、登場人物それぞれがコンプレックスによって狭くなった視界、閉じこもった殻からほろ苦い痛みを経て一歩踏み出すきっかけを見つけてゆく。個人的には表題作よりも『雨上がりに傘をさすように』が心に響いた。ちなみに『メタセコイアを探してください』のミアのモデルは中島美嘉と見たがいかに?2015/01/18
七色一味
72
読破。4つの、公園が見守る物語。ラノベ出身の作家さんの、初の一般文芸作品とのこと。瀬那さんの作品は『好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く』以来2作目で、そちらも大好きな作品で確かべた褒めした記憶あり! 人と人の関わりの中の、心理的微妙な襞の震えがうまく捕らえられていて、ココロの隙間にすとんと落ち着くというか、するりと滑りこんでいく物語です。もう1話めから目頭熱くなっちゃって、この先電車の中で読んでて大丈夫なのか?と思いました。ちょっと2話目はトーンダウンしたものの(続く)2014/11/13
さっこ
71
四つの公園を舞台にした4話短編集。それぞれに悩んだり後悔したりしながらも希望で終われる温かい作品。自分は自分の為に前を向く、雪には雪のなりたい白さがあるように。軽くサクッと読めるのだけれど、1話目の源次郎さんと2話目の元夫婦のお話は泣けました。2021/05/18