ディオニュソスの蛹

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  • サイズ B6判/ページ数 301p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488027285
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ナポリであてもなく暮らす少年アルカンジェロ。亡き母宛に届いた一通の手紙が、彼の運命を大きく変えてゆく。禁断の愛と芸術による癒しを、ブエノスアイレスを舞台に描く。

内容説明

唯一の肉親である母を失って以来、ナポリの町で一人生きてきた少年アルカンジェロのもとに、ある日ブエノスアイレスから母に宛てた手紙が届いた。かつて母がブエノスアイレスにいたこと、自分に血を分けた兄がいることを知った彼は、彼の地に行く決意をするが、そこで待ち受けていたのは、憎悪に満ちた兄レオンと、母にまつわる禁忌の物語だった。ブエノスアイレスへ移住したナポリの画家、麗しき流転の双子、血の絆をもたない男だけの一族、アルカンジェロとレオンをつなぐカトリック伝統の「奇蹟の治癒絵画」…。禁断の愛と秘められた傷が織りなす神話の迷宮世界。迷宮にとらわれた魂の、再生の物語。

著者等紹介

小島てるみ[オジマテルミ]
宮城県生まれ。専修大学文学部英米文学科卒業。「ヘルマフロディテの体温」「最後のプルチネッラ」でデビュー。第8回Sense of Gender賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

40
芸術を封じ、胸に聖痕のような「赤い月」を宿すアルカンジェロ。母に捨てられたことで心を閉ざし、敬愛する父を真似して生きてきた「黒い獣」を宿すレオ。彼らに豊饒と慈しみの女神、アリアドネと子供であり、恋人でもある、供犠の存在、ミノタウロスの神話が絡み合う。己の瑕と向き合い、混じり合い、解け合い、ゼロから新しい「創造」が生まれる。痛みと喪失を二度と味わわない様に心を殺しても、人は死んだように生きられない。解き放たれた心があるから慈しみは生まれ得るのだから。アートセラピストのスーラが双頭の白蛇となぜか重なります。2014/04/19

草食系

27
もう書かれないのかと気にかけていたので、また出会えたのがまず嬉しい。幻想、耽美的な作家さんの中で、描き出す世界は、繊細でいて命を感じさせる強さがある。妖艶な花が艶やかな美しさを誇るだけでなく、青白い花が繊細なはかなさを垣間見せるだけでなく、命を生ききることをみせてくれる。話の筋にやや唐突感があったため、前の2作の方が好みでしたが、これからも創作活動をしてくれることを願います。2014/04/22

むつぞー

13
異父兄弟と彼らの両親の物語、治癒絵画とアート・セラピー、そして女神とミノタウロスの物語、モチーフも物語も血と官能を感じさせる味付けも面白いと思います。ただそれらのバランスがちょっと悪い。 神話が占める部分もかなり多いですし、それに比べると兄弟の部分が足りない気がするのです。 とは言え、感情や衝動が絵画への芸術へつながるそういった絵画の発生という部分はものすごく良くって、改めて絵画や芸術の成立というものを感じさせてくれました。 すごく難しいものもあるけど、でも読むことが出来て良かったと思います。2014/04/05

iuba

9
神話、芸術、血の絆とあまく蠱惑的なモチーフを並べて描かれるのは、もろく崩れそうな、あるいは、陰のあるこころを抱えた人々。痛みと喪失を象徴する血の赤が、表紙を見るとはっとする。挿話として語られる神話に結びつく見立てがあるためか、物語自体はどことなく唐突に語られる。ただ、幻想と神話を標榜する物語には度々見られる傾向のような気がして、文体においても追求されている様式美の一端かなと思わなくもないです。レオン、申し訳ない、君の手のひら返しにはちょっと笑ってしまいました。救済があたえられて、良かった。2014/08/17

仮ッ子

8
神話が織り込まれていて、幻想的、壮大な話になっている。とにかくすごい!牧神パンが可愛い← で、結局レオンって…ってこと?色んな意味でドキドキしました。2014/04/08

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