出版社内容情報
世界各国から集められた死刑囚のみを収容する終末監獄。死刑執行前夜、密室状態の独房で、なぜ囚人は殺されたのか? 奇想と逆説に満ちた、著者渾身の本格ミステリ連作集。
内容説明
世界各国から集められた死刑囚を収容する、ジャリーミスタン終末監獄。親殺しの罪で収監されたアラン青年は、“監獄の牢名主”と呼ばれる老人シュルツと出会う。明晰な頭脳を持つシュルツの助手となって、監獄内の事件の捜査に携わるアラン。死刑執行前夜、なぜ囚人は密室状態の独房で斬殺されたのか?どうして囚人は闇夜ではなく、人目につく満月の夜に脱獄したのか?そして、アランが罪に問われた殺人事件の真相とは…。死刑囚の青年と老人が遭遇する、摩訶不思議な事件の数々。終末監獄を舞台に奇想と逆説が横溢する、著者渾身の本格ミステリ。
著者等紹介
鳥飼否宇[トリカイヒウ]
1960年福岡県生まれ。九州大学卒。2001年『中空』で第21回横溝正史ミステリ大賞優秀作に選ばれてデビュー。07年『樹霊』が第7回本格ミステリ大賞の、09年『官能的―四つの狂気』が第62回日本推理作家協会賞の候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
138
ええっ!?まじか!?吃驚仰天のラスト!世界中の死刑囚が集められる終末監獄ジャリーミスタン。このとんでもない設定で起きる、これまた破天荒な事件の数々。最終章で明らかになる真相に驚かされているうちに、更に追い討ちをかけるような、あのラスト!それがあなたの真意ですか!死刑執行までの残り時間という意味だと思っていた題名に、こんな意味が隠されていたとは。企みに満ちた作品だ。2016/03/21
のっぱらー
77
今年の本格ミステリ大賞受賞作品。世界中の死刑囚を集めた終末監獄。そこの長老にして牢名主ことシュルツと、彼の助手として監獄内の数々の事件の謎をシュルツとともに解いていくこととなるアラン。その謎の内容の特殊さもさることながら、なんといってもラストの展開には愕然。これはミステリ好きなら唸らされること間違いなしかな。やはり本格ミステリ大賞受賞作の名は伊達ではないですね。2016/06/05
紅葉
75
アンソロジーじゃなくちゃんと1冊読むのは初めましての鳥飼さん。今年の本格ミステリー大賞受賞作です。世界各国から死刑囚だけが集められた終末監獄が舞台の連作短編。場所が海外で登場人物は外人。特殊な設定に読み切れるか不安だったけどすぐ馴染んじゃいました。面白い!結構 残酷な描写もありひぇ~と思いながらもどんな結末になるのか気になる気になる。これはホロッと感動の終わり…と思ったところでの驚きのエピローグ!!えぇ~!?ゾクっとしちゃいましたよ。鳥飼さん、他も読もう♪2016/05/23
ブランドのアーメン
72
本当に怖い、まさしく狂気に溢れた本。逆説に満ちた推理を重ねながら事態は進行していくが、その狂気の血はどうなっていくのだろうか。最後の文章に真っ青になった。2016/01/24
stobe1904
65
【本格ミステリー連作集】 第16回本格ミステリ大賞受賞作。世界中から集めた死刑囚を収容するジャリーミスタン終末監獄で起こる6つ不可思議な事件をめぐる連作集。監獄で起こる不可思議な犯罪を、本格ものとしてきれいにまとめ上げており、読後感もよく、楽しい読書体験だった。死刑囚専用の監獄とは荒唐無稽な舞台と思っていたが、最後のオチに必要な場であったと納得した。本格物として素晴らしい出来栄えだった。★★★★★2015/08/16