内容説明
完全犯罪のために必要不可欠な密室が、あともう少しで完成するというその瞬間、部屋の中に黒猫が入り込んでしまった!犯行計画を崩壊させかねない黒猫を密室から取り出そうと悪戦苦闘する犯人の前に、たまたま世界一気弱な名探偵が現れて…表題作をはじめ、蝋燭だらけの密室殺人を描いた「クローズド・キャンドル」など五編を収録。キュートでコミカル、しかし心は本格ミステリ。名探偵音野順、第二の事件簿。
著者等紹介
北山猛邦[キタヤマタケクニ]
1979年生まれ。2002年『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞してデビューする。機械的トリックの案出に強いこだわりを持つ一方、世紀末的かつ叙情的な独自の作品世界を構築し、次代を担う本格ミステリ作家として将来を嘱望されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
125
今のミステリの世界では、機械的トリックが軽く見られがち。しかし北山作品を読むかぎりは、まだまだ開拓の余地がありそうだ。まさにタイトルが暗示する。5編中4編までが密室ものである(のが私見です)点もマニアック。新古書店で安く買ったとはいえ、シリーズ2冊目と知らずに読みはじめた。探偵よりえらそうなワトソン役の白瀬とか、岩飛警部とのやりとりも、ケンカの中の信頼っぽく、なかなか楽しい。こうなったら、未読の1冊目が読みたくてたまらない。2020/05/07
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
82
気弱なひきこもり探偵・音野順の活躍(?)を描いた連作短編シリーズの第2弾。登場人物たちのコミカルなやりとりに和まされながらも、それでいて凝ったトリックをしっかりと解き明かす本格ミステリーとしても楽しませてくれる感じが絶妙で、その味わいが前作以上に増してきた感じがする。なかでも「停電から夜明けまで」は、積極的に謎解きをしない探偵役の個性の生かし方が秀逸。それ以外にも、今後に含みを残した犯人あり、主人公と正反対の探偵の登場ありと、これからの展開を期待させる要素も織り込まれ、ますます次巻が待ち遠しくなってきた。2013/12/29
くろり - しろくろりちよ
76
気弱な名探偵、音野順の事件簿2冊目。偶然密室に入り込んでしまった黒猫が密室の外へと表れる「密室から猫を取り出す方法」/ロッジを借りた人たちの間で見られる「人喰いテレビ」と腕を消失した死体の関係/学校の音楽室で起こった生徒殺人未遂・教師殺人の意外な凶器「音楽は凶器じゃない」/闇に乗じる殺人計画と探偵「停電から夜明けまで」/名探偵勝負で蝋燭に囲まれた密室の謎に挑め「クローズド・キャンドル」▼キャラクター設定と軽快なストーリー運び、キュートなのに本格ミステリ。さくさく続刊も読みたいと思える娯楽作。2014/01/12
tonnura007
71
音野順シリーズ2作目。完成した密室のなかにうっかり黒猫が入り込んでしまい完全犯罪のプランが台無しに、、、どうやって猫を取り出すのか。前作同様5作品で構成される短編集だが、早々に犯人が発覚したり倒叙ものが多かったり、ハウダニットやホワイダニットに重点が置かれている。 『停電から夜明けまで』は倒叙ものとして非常に優れた作品だと感じた。読者も犯人の視点に入り込んでしまっているために罠にまんまと引っ掛かるし、音野順の使い方も巧い。 続編への期待がさらに高まった。2024/12/08
ダイ@2019.11.2~一時休止
69
名探偵音野順の事件簿その2。短編集。表題作やテレビのやつがイイ。2014/02/23