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ロンド

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  • サイズ B6判/ページ数 637p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488023751
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

手渡された封書は美術評論家江栗靖彦からのもので、個展案内状だった。そこには「―ロンド―Part1」と記されていた。志村徹。知らない名前だ。作家名の下にあるのは江栗靖彦の推薦文だった―真に美を理解する者の高揚と強い使命感をもって、刮目すべき新人、志村徹の初個展を案内する。その驚嘆すべき表現方法と技術は歴史に前例がなく、これまでのあらゆる美術を嘘と欺瞞の淵に追い落とさずにはおかない危険な魅力に満ちている。私たちは非業の死に仆れた天才三ッ桐威と、その幻の傑作『ロンド』の系譜を、正統に引き継ぐであろう新時代の表現者に今、ようやくたどり着いたのだ。なんとも大時代な書きっぷりが失笑を誘うとしか言いようがない。この推薦文の下には次のようにあった。「本個展は、一日のみの展示で終了する」。事件はこうして始まった。全読書界に捧げる華麗なる贈り物。

著者等紹介

柄沢斉[カラサワヒトシ]
1950年生まれ。二十歳で日和崎尊夫の作品に魅せられ、木口木版画家を志す。その技法の習得の速さには目をみはるものがあり、制作の初期の段階から独自の世界を構築してきた。幼い頃から親しみその中で遊んでいた書物の世界と、自ら彫り上げる美の世界の間をたゆたいながら、緻密で緊張感に満ちた作品を次々に生み出す版画家の虜になる詩人、作家たちは多く、詩画集、挿絵本、装丁を多く世に送り出すことになる。最近は、洒脱で皮肉な味わいも作品に顔を覗かせるようになり、独特の墨絵の数々も発表。『ロンド』は、小説家柄沢斉のデビュー作となる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たみ

8
限られた人しか見たことのない幻の絵画をめぐるミステリー。主人公は市立美術館勤務の学芸員、行方不明の幻の作品を見たいと強く願っている。初めてこの本を手にとった時、とにかく分厚さにびっくりした。しかも重い、鈍器級。腕をプルプルさせたくない方は文庫版が良いかと(笑) 637pの大作ですが、美・死への憧れや恐れ、反面、芸術とは関係なく進んでいく日常を言葉にするのには必要なボリュームだったのかも。著者は版画家さんとのこと。車の運転場面などは手に汗握る描写で、小説としてのエンタメ性もありとても楽しめました。2014/05/25

ヱロ本Gメン

7
再読。中盤までは殺人と名画の絵解きで面白いのだが、後半犯人の饒舌ぶりに白けてしまうのは初読時と同じ感想。長編すぎるのがこの作品の欠点かなあ。「ロンド」の狂気ぶりにもっと執拗なほどの描写が欲しかったかも。時折差し込まれる吉田健一的に美味そうな料理と酒がたまらない。作者の五感を刺激せんとする試みに嵌る自分の卑しさが可愛い。ミステリーとしては『虚無への供物』『匣の中の失落』クラスとは言わないが、雰囲気だけなら並び立つか。雰囲気名作。2016/02/04

タリコ

2
軽くオカルト要素もありますが、とても面白かった。絵画というテクストを読む職業(キュレーター)である主人公視点の、語りの文彩が魅力的でした。2009/09/22

タコ星人

1
分厚さにひるむ。 事件は連続して起きているが、主人公が探偵的な活動をあまりしていないので、ミステリとして読むと少し物足りない(とは言え終盤の土壇場で見事な推理を披露してしっかり探偵しているのだが)。人を狂わせる美術品にまつわる幻想小説にしては俗っぽくて狂気が物足りない。うーむ。 美術品とお料理の描写は素晴らしい。2024/10/19

non

1
 18-81:P637の厚みに腕痛い。P8ℓ10。未完成の三連式絵画ロンドをめぐる物語。絵画模倣殺人という付け所は面白いのにぐだぐだやりすぎてスピードが落ちたのと少年の関わり明かされぬ不満。ロンドは巡る。「現代で粗食というのは粗末な食事じゃなくて食事の時間を粗末にするという意味・生者の側から見ればすべての死者の死は未完成・犯罪者ってやつはーーほんのささいなことに自分の利権を見るーーしかも最大限に拡大解釈する」絵画写真頼りに。2018/03/28

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