内容説明
手渡された封書は美術評論家江栗靖彦からのもので、個展案内状だった。そこには「―ロンド―Part1」と記されていた。志村徹。知らない名前だ。作家名の下にあるのは江栗靖彦の推薦文だった―真に美を理解する者の高揚と強い使命感をもって、刮目すべき新人、志村徹の初個展を案内する。その驚嘆すべき表現方法と技術は歴史に前例がなく、これまでのあらゆる美術を嘘と欺瞞の淵に追い落とさずにはおかない危険な魅力に満ちている。私たちは非業の死に仆れた天才三ッ桐威と、その幻の傑作『ロンド』の系譜を、正統に引き継ぐであろう新時代の表現者に今、ようやくたどり着いたのだ。なんとも大時代な書きっぷりが失笑を誘うとしか言いようがない。この推薦文の下には次のようにあった。「本個展は、一日のみの展示で終了する」。事件はこうして始まった。全読書界に捧げる華麗なる贈り物。
著者等紹介
柄沢斉[カラサワヒトシ]
1950年生まれ。二十歳で日和崎尊夫の作品に魅せられ、木口木版画家を志す。その技法の習得の速さには目をみはるものがあり、制作の初期の段階から独自の世界を構築してきた。幼い頃から親しみその中で遊んでいた書物の世界と、自ら彫り上げる美の世界の間をたゆたいながら、緻密で緊張感に満ちた作品を次々に生み出す版画家の虜になる詩人、作家たちは多く、詩画集、挿絵本、装丁を多く世に送り出すことになる。最近は、洒脱で皮肉な味わいも作品に顔を覗かせるようになり、独特の墨絵の数々も発表。『ロンド』は、小説家柄沢斉のデビュー作となる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たみ
ヱロ本Gメン
タリコ
タコ星人
non