ミステリ・フロンティア
エフィラは泳ぎ出せない

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  • サイズ 46判/ページ数 300p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488020194
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報



五十嵐 大[イガラシダイ]
著・文・その他

内容説明

東京でフリーライターとして働く小野寺衛は、同棲する恋人の妊娠が判明した夏の日、伯母からの電話を受ける。それは故郷に残してきた兄の死の報せだった。兄・聡には知的障害があったが、死因は自殺ということ以外なにもわからない。葬儀のため七年ぶりに地元・松島の地を踏んだ衛は、兄の死の真相を探る決意をする。父親、伯母、幼馴染みと、聡と関わりの深かった人物に話を聞いていくことで、慟哭の真実が明らかに―!エッセイ『しくじり家族』『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』で話題の著者が贈る、鮮烈なミステリデビュー作。

著者等紹介

五十嵐大[イガラシダイ]
1983年、宮城県出身。元ヤクザの祖父、宗教信者の祖母、耳の聴こえない両親のもとで育つ。高校卒業後上京し、ライター業界へ。2015年よりフリーライターとして活躍。現在は、ハフポスト日本版、「かしわもち」(柏書房)、「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)など、Webメディアから雑誌まで幅広い媒体に寄稿している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ナミのママ

60
すごく良かった。障害者が登場する作品の感想を書こうとすると戸惑うのは、私の中に障害者は違う人という思いがあるからだろう。兄の訃報を聞き7年ぶりに故郷に帰った衛。音信不通だったのには理由があった。そして知的障害者の兄は本当に自殺だったのか?真相を調べ始める。「妻を亡くし男手で息子たちを育てた父」「母親がわりとなり育てた母の姉」「兄弟と遊んで育った幼馴染の女性」それぞれの視点から「障害者」である聡が語られる。死の真相が哀しい。好き嫌い・賛否が分かれると思うけれど、そっとお薦めしたい作品。2022/10/23

konoha

47
映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の原作者、五十嵐さんが書いたミステリー。東京でフリーライターとして働く衛は知的障害のある兄、聡が自殺したと知り宮城に帰省する。聡が本当に自殺したのか疑う衛は独自に調べ始める。衛には作者が投影されていると思うので、障害者のいる家族の描写が繊細でリアルだった。父親、伯母、友人親子、衛自身それぞれが聡への愛情と共に歪みを抱えていて、それが聡の死によって浮き彫りになるのが切なかった。真相は唐突な感じがしたが、当事者だから書ける人間ドラマとしても読み応えがあった。2025/01/02

よっち

35
東京でフリーライターとして暮らす小野寺衛が、同棲する玲奈の妊娠が判明した夏の日、故郷の松島町に残してきた知的障害がある兄の死の知らせを受ける慟哭のミステリ。七年間帰っていなかった実家への複雑な思いを抱いての帰省。なぜ障害者枠で大企業に務めていたはずの兄が自殺したのか、その死の真相にアプローチしてゆく衛。調べる明らかになってゆく父親の悔恨、伯母の依存心、幼馴染の欺瞞、周囲に理解してもらえない兄の苦悩があって、けれど何よりも兄が本当の意味で切望していたものを知ってしまう結末には、胸を締め付けられる思いでした。2022/10/04

rosetta

35
★★★★☆ノンフィクション作家のミステリデビュー作。エフィラとは自分ではまだ泳げない波に流されるだけの海月の幼生のこと。東京でフリーライタの衛は松島に残した兄の聡の自死の知らせを受ける。天使のように愛らしいと言われた聡は知的障害があり絵の才能があった。兄の死に不審を覚えた衛は真相を知りたいと思う。父の健蔵、早くに死んだ母の姉で子供たちを育ててくれた妙子、シングルマザの子で兄弟と仲の良かった百合。主人公が変わる度に様相は次々に新たな面を見せる、まるで『藪の中』。最後に見つけた本当は?慟哭の一冊。2022/09/22

スミレ

18
知的障害者である兄・聡が死んでしまった。 自殺として処理されてしまった兄の死に疑問を持った衛は真相を調べ始める。 弟、父親、伯母、友人の視点で描かれていて、それぞれが抱える苦悩、悔恨、葛藤などに心打たれました。 真相も衝撃的で、ミステリーとしても読み応えがありました。 心に響くものが大きすぎて読後の感想が上手く表現できませんが、読んで良かったと心から思います。2022/10/11

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