バルザック全集 〈23〉

バルザック全集 〈23〉

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  • サイズ A5判/ページ数 406p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488019235
  • NDC分類 958

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

133
訳者による解説。フランスでは、バルザックやユゴー、スタンダール、デュマらがこぞって16世紀の歴史や文学=ロマン主義の特徴について書いた。『序章』難解。生まれてすぐ両親を亡くし、命の危機さえ経験したカトリーヌはヴァロワ家アンリ二世の妻になったが、夫はポワチエ夫人に取られている。その中、義父に取り入る。政治的にはさらに揉まれて苦労する。急進的カトリックの中心で王家ヴァロワ家を手中に握り王権も奪おうとしていたギュイーズ(ロレーヌ家) 対 政権奪取を狙う新教勢力のブルボン家の構図。その中で、揺れ動くカトリーヌ。2018/04/06

NAO

65
『カトリーヌ・ド・メディシス』一部では、新教への篤い思いで密使となった青年に対するカルヴァン派の面々とカトリーヌの態度の違いが、対照的。信仰のために命をかけるのは信仰者として当然のことには違いないのだが、人の心を読むのはカトリーヌの方が数段上だったようだ。二部に登場するリュグジェリ兄弟は、ノストラダムス同様占星術が得意な錬金術師。いかにも、オカルト好きなバルザック好みの話に仕上がっている。三部は、フランス革命前夜。ロベスピエールとジャン・ポール・マラの思想を二人が見た夢で象徴するというなんとも小粋な小品。2018/09/29

em

18
カトリーヌ・ド・メディシスといえば奸智に長けた王妃。聖バルテルミーの虐殺の首謀者、メディチ家お得意の毒薬、子を見殺しにした説など、怪しげな話に事かかない人物。バルザックは、彼女が「勇気と根強さとによって王位を守護した」と擁護する。そしてジャン・カルヴァンを、遠くジュネーヴからフランスの混乱を利用せんとする不気味な存在として描いている。このカトリーヌへの思い入れ、カルヴァンの怪演ぶりがなかなか面白い。ロシアのエカテリーナ二世もそうだけれど、嫁いだ先の国でここまで権力を握るとは、並でない胆力。恐れ入ります。2018/05/20

Hotspur

2
『カトリーヌ・ド・メディシス』。序章に「著者の意図は絵巻物のようなフランス史を書くことにあった・・・著者はカトリーヌが女傑であったという信念を固くする」とある。歴史背景、人物の名称、作品の構成がややこしく、例外的に稠密な訳注と首っ引きで読む。さすが渡辺一夫先生。 『コルネリユス卿』。解説がフェリクス・ダヴァンの「ルイ11世の偉大な肖像の最も興味を唆る特徴・・・老会計役に具現した吝嗇家を殺す吝嗇の観念」を引用。 両作品とも描出された時代が他の『人間喜劇』からは孤立しているが、この点『知られざる傑作』と同じ。2018/11/05

takeakisky

1
複雑。何度序章に戻ったか知れない。というか一部前半の渡辺一夫の日本語が豊かすぎ。我が身の知識不足を嘆く。もちろんヨーロッパ史の知識なんぞ言うまでもない。ギーズ公はけしからんやつで、コンデ公は骨のあるやつというどこで覚えたか真偽も怪しい印象しかない。訳註は細かすぎるが面白くもある。シャルル9世の個性と悲劇的人生。錬金術のえも云われぬ素晴らしさ。短いと油断していた第三部。心地よい夢のような話が、名を知らぬ二人の男、田舎の弁護士と外科医か。時代を意識し、夢を聞くうち、徐々に見えてくる彼らの正体。二つの悪い夢。2024/01/11

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