出版社内容情報
昭和初期、浅草六区の片隅に建つ芝居小屋では、夜ごと少女たちによる残酷劇が演じられている。一座の役者は皆、ある特殊な条件のもと集められていた。ある日、容姿端麗で美しい声を持つ新人がやってくる。本来ここには完璧な少女は存在してはいけないはずなのに。その秘密が明らかになるとき、彼女の〈復讐〉が始まる。(「感応グラン=ギニョル」)。分かち合えない痛みや苦しみを抱えて生きる孤独な魂を描く全5編。第2回創元SF短編賞佳作受賞者、待望の書籍デビュー。
内容説明
昭和初期、浅草六区の片隅に建つ芝居小屋。ここでは夜ごと、ある特殊な条件のもと集められた少女たちによる残酷劇が演じられていた。その日、容姿端麗で美しい声を持つ新人がやってくる。本来ここには完璧な少女は存在してはいけないはずなのに。彼女の秘密が明らかになるとき、“復讐”が始まる―分かち合えない痛みと傷を抱えて生きる孤独な魂を描いた全五編。
著者等紹介
空木春宵[ウツギシュンショウ]
1984年静岡県生まれ。駒澤大学文学部国文学科卒。2011年、平安朝を舞台にした言語SF「繭の見る夢」が第2回創元SF短編賞の佳作に選出される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
85
読友さんにお勧めされた本。誰も「わたし」を見ちゃいない。手前勝手に人の不幸を解釈し、比較し、軽んじる。憐れみ、理解した振りをして善人としての証明にする。目的を果たす為の道具として使う。「自分はこうでなくて良かった」と安堵する為に嗤う。あまつさえ、一時の好奇心を満たし、娯楽として貪りつくすのがこの世界。一度でもそんな世界や人への呪詛を抱いた人には琴線に触れるだろう。(後、Fate HFの桜ちゃんが好きな人も)最もこの作品集を読む人も「お前も同じじゃないか」という冷徹な侮蔑の視点に晒されるのだが・・・。2021/10/31
いたろう
72
関東大震災からまもない浅草、体のどこかが欠損している少女ばかりを集めた芝居小屋の一座に、体はどこも欠けていないが、心が欠けている、そして、それ故にある特殊な能力を持っている少女がやって来たという表題作。その他、戦争中の女学校で、すべての女学生がゾンビ化していく運命にある「徒花物語」、失恋したら蛇や蛙になる病が蔓延している「メタモルフォシスの龍」等、全5編。いずれも、少女や若い女性たちが登場人物の中心となるダークファンタジー・SF集。ディープ、ダーク、グロテスクな世界感に圧倒される。これからが楽しみな作家。2021/11/17
オフィーリア
61
幻想的で退廃的で、悍ましいけど美しい世界観が美しい文章で紡がれる珠玉の短編集。変容を伴う彼女達の痛みと激情は読者も唯の傍観者で居ることを許してくれず、強烈な爪跡を残す。一作読む事に圧倒される、強烈な読書体験でございました。2024/08/10
ひさか
55
ミステリーズ! vol.96(2019年8月)感応グラン=ギニョル、東京創元社2019年12月Genesis白昼夢通信:地獄を縫い取る、東京創元社2020年8月Genesisされど星は流れる:メタモルフォシスの龍、Webミステリーズ!2020年12月徒花物語、書き下ろしRampo Sicks、の5つの作品を2021年7月東京創元社から刊行。創元日本SF叢書18。「地獄を縫い取る」のAI仮想人格を使ったアイデアと世界観にはなんとかついて行けたものの他の話の不気味な偏執猟奇的な内容について行けませんでした。2021/10/02
あおでん@やさどく管理人
42
短編というにはどの作品も重厚で、「読みやすい」作品ではない。登場人物たちの「痛み」に読む方も無縁ではいられない。解説には江戸川乱歩の名前が挙がり、谷崎潤一郎や島崎藤村の作品も引用されている。こうした日本文学作品の系統とSFが融合しており、新しいSFだがどことなくかつての日本の雰囲気も残しているような気がした。2022/03/12
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- 和書
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