創元日本SF叢書
カムパネルラ

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  • サイズ B6判/ページ数 293p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488018221
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

16歳の僕を置いて、母は逝った――宮沢賢治を生涯にわたって研究した彼女の希望で、花巻まで散骨に訪れたが、事故をきっかけに自分が80年前、宮沢賢治の亡くなる前の日にタイムスリップしていたことに気がつく。そこで巻き込まれたのは、あの〈カムパネルラ〉が殺されたという想像を絶する事態だった。時間と物語の枠を超えて展開する長編SF。

山田正紀[ヤマダマサキ]

内容説明

十六歳のぼくを置いて、母は逝った。研究者だった母は、現政権の思想教育の要となっている宮沢賢治作品―とりわけ『銀河鉄道の夜』を熱心に研究し、政府が否定する「第四次改稿版」の存在を主張していた。遺言に従い、遺灰を携え花巻へ行ったぼくは、ふと気がつくと土砂降りの中、賢治が亡くなった昭和八年九月二十一日の二日前に転移していた。いまなら彼の死を阻止できるかも知れない―その一念で辿り着いた賢治の家でぼくを迎えたのは、早逝したはずの宮沢トシと、彼女の娘「さそり」だった…永遠に改稿され続ける小説、花巻を闊歩する賢治作品の登場人物―時間と物語の枠を超えた傑作長編SF!

著者等紹介

山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年名古屋生まれ。74年のデビュー中編「神狩り」で第6回星雲賞を受賞。82年『最後の敵』で第3回日本SF大賞を、2002年『ミステリ・オペラ』で第55回日本推理作家協会賞及び第2回本格ミステリ大賞を受賞。SF、ミステリ、冒険小説など多岐にわたって活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

79
コンピュータによる、権力に都合のよい超管理社会に、すでに私たちは足を踏み入れているのではないか。近未来というより、もう始まっているかもしれない自由への干渉を、この物語は警告している。宮澤賢治の思想を、私たちは実はそのつど都合よく解釈しているだけで、逆の読み、受け入れも十分に可能なのだということを知らされた。今思えば、「銀河鉄道の夜」の第四次稿が鑑賞本文として流布していることは、賢治が最終的には、穏当な日常を大切にする立場に帰ってきた証拠であろう。自由と歴史は曲げてはならない。2017/02/22

山田太郎

57
銀河鉄道知らないし、あんまり興味もないので、どんなもんかと思ったが、思ったよりは楽しく読んだけど。作者さんもうけっこうな高齢だと思うけど、けっこう元気だなと。冒険ものが読みたいけど書かないのかな。2017/01/06

Hitoshi Mita

56
小さい頃に寝る時に父が宮沢賢治の童話を毎晩読んでくれた。グスコーブドリの伝説、セロ弾きのゴーシュ、どんぐりと山猫、風の又三郎、銀河鉄道の夜。ワクワクしながらお話を楽しみにしていた。僕の父は岩手の花巻出身で僕も子供の頃に今作に登場する場所に何度も行っていたので本を読みながらあゝあの場所かぁと思いながら読みました。銀河鉄道の夜がこの様な作品になるとは!さすが山田正紀と言わずにはいられない。銀河鉄道の夜の第1次稿から第4次稿に見られる内容の差をこの様な解釈を盛り込みながらSFとして構築させるあたりは驚きだ。2016/11/19

優希

55
面白かったです。『銀河鉄道の夜』をモチーフにSF小説へと昇華させた物語でした。時間と物語の枠を超えていますが、これこそ「僕たちの銀河鉄道の夜」なのです。2021/07/17

あじ

41
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」を最推奨作品とし、思想教育を行う世界に生きる主人公。母は賢治を研究し幻の“第4次改稿版”の存在を訴える。だが現政権にとってそれは不都合でしかなく、排除しようと圧力を掛けてくるのだが─。タイムトラベルなのか異次元なのか、主人公共々私にも錯乱を来す。賢治のいる(いた)世界で、 母が死守した“私家版”を主人公は生かせるのか。カンパネルラや又三郎に巻き込まれつつ、主人公(ジョバンニ)は命を燃やす。★3/5 主人公を駆り立てている感情の核が描かれず仕舞い。賢治や母への浪漫に厚く触れたかった。2016/11/12

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