内容説明
かつてはロボット研究が生み出した最先端機種として、期待を集めていた人型ロボット「ピイ・シリーズ」。しかし、現在では「残存種」と呼ばれ、絵を描くだけの無用の存在として各地を放浪していた。恋人との仲に悩む女性、周囲にとけ込めない中年男性、人生を見失った青年―ピイと出会った人々は、姿だけを同じくするロボットの瞳に何を見いだすのか。感情を持たないピイ、そして永遠の時を過ごす少女。かれらとの対話を通して揺らぐ人々のこころを柔らかに描き出す、すぐそこの未来の、希望と祈りに満ちたSF連作短編集。
著者等紹介
菅浩江[スガヒロエ]
1963年京都府生まれ。81年「ブルー・フライト」でデビュー。91年の『メルサスの少年』で第23回星雲賞、翌年「そばかすのフィギュア」で第24回星雲賞を連続受賞。2000年の『永遠の森 博物館惑星』で第54回日本推理作家協会賞、第32回星雲賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そのぼん
8
近未来のロボットをモチーフにした連作短編集。無機質なはずのロボットがなぜか人間を癒してくれているような、優しい気持ちになれました。2011/10/06
adari
4
絵描きロボット『ピイ』を中心としたSF連作短編集。全体的に優しい雰囲気なのが良い。けど、読んだ後あまり印象に残らない2013/11/18
ろびん
3
優しく、いい話だったのだけれど、カフェのマスターの話はどうも腑に落ちないな、詭弁のように聞こえてしまう。2018/11/29
かっぱ
3
2045 年を迎えたとき、人間は 何をもって自己を肯定できるんだろうか?そんなことを考えさせられた。お話は読みやすいけど、かなり難問。そして、人とはなにかを考える上で、姿形が無視できない という点が昨年の「誰にみしょとて」につながるテーマのように見える。 しーちゃんは、なぜ少女なの姿なのか。たぶん、それは一つのポイント。 2015/08/14
高槻かなた
3
短編連作。「シュガー・ピンク」が一番印象に残っています。全体の感想としては設定はなかなか面白そうだと思ったけれど、雰囲気が殺伐としすぎかなという印象を受けました。ただ、合間にある語りが誰のものかが最後に分かるのは、すごく良かったと思いました。2011/09/25