出版社内容情報
教室で孤立する高校一年生の一居士に初めて出来た「友人」。彼女との穏やかな日々に隠された衝撃の真実――静謐な筆致で描き挙げる学園ミステリの傑作。
内容説明
その日まで、ぼくは教室の“幽霊”だった。誰にも話しかけられない孤独な高校生活を変えてくれたのは、前の席に座る同級生。謎めいた彼女の行動、校内で続く動物死体遺棄。穏やかで不安定な日々に隠された真実とは―
著者等紹介
十市社[トオチノヤシロ]
1978年愛知県生まれ。中京大学卒業。2013年、Amazonが提供する電子書籍出版支援サービスKDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)を介し、『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』のオリジナル版を上下巻にて発売。KDP版に加筆訂正を施し、デビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
113
クラスの中で幽霊の如く存在を無視されている主人公「一居士架」と、席替えをきっかけに唯一彼と友人関係を築くことになった「玖波高町」。校内で連続する動物死体遺棄事件をきっかけに二人がそれぞれ心に抱えるものが次第に浮き彫りになっていく。提示された謎に対してそれがどこで収束するのか、或いはしていたのかをレトリックによって引っ張る手口は巧いのだが、途中の記述には腑に落ちないモヤモヤが残る。ストーリーでは高町の家族間における確執の真実が出色の出来。比喩の多用によって繊細な心情を細やかに表現した良質な青春ミステリ。2014/05/26
みっちゃん
91
読友さんの感想で「これは読まにゃ!」と思った。読み出したら止まらない、夜中までかかって一気読み!「幽霊」扱いされる少年と唯一彼が「見える」少女。この2人の立ち位置がぐるん、ぐるんと変わる。特に終盤はジェットコースターが1回転してどすんっと着地したような驚き。友、親子の関係を通してこの年代特有の残酷さ、危うさ、繊細さ、自意識等が痛々しい程によく描かれていた。人にとって何より大事なのは、自分を受け入れてくれる存在と安心してそこにいれる居場所なんだなあ。2015/01/08
よっち
60
ある失敗から孤立しクラス内で幽霊と言われる高校生・一居士架。誰とも話さない架の高校生活は、席替えで玖波高町が前の席になって変わり始めていく。密かに続く図書室での二人だけの交流、発見される動物の死体、たびたび学校を休み何か憂いを抱えているように見える高町。架が彼女の友人も知らない高町の秘密を徐々に知っていって、そのたびに見える構図が二転三転する物語は、やや冗長だったり荒削りだったりもしましたが、全体として見るとぐいぐい読み手を引き込む文章力があって読後感も悪くなかったです。これからが楽しみな作家さんですね。2015/01/17
ゆみねこ
57
クラスで居場所のなくなった男子生徒と一風変わった女子生徒。トリックが幾重にも仕掛けられていたりで、面白かったことは確かです。ただ、文章が読み難くて読み進めるのにやや時間がかかりました。クラスの人間関係やイジメだけかと思ったら、家庭の問題も絡んで来る。ラストはまずまず。2014/07/15
そうたそ
41
★★★★☆ ある失敗を犯したことからクラスからハブられ、幽霊扱いをされることとなった主人公。話すことすらなく、ただただ教室の隅で幽霊のように過ごす日々であったのだが、高町なる女子との出会いから彼の日常は変化してゆくこととなる。デビュー作である故、文体も決して読みやすいわけではないのだが、確実に読者をひきつける「何か」があった。青春小説としては一級品ではないかと思う。勿論、ミステリとしての出来もよい。ただ華麗などんでん返しがあった一方、消化不良に感じられた部分も少々あった。でも大型新人の謳い文句に嘘はない。2014/04/22