内容説明
フランス語など習ったこともない不登校中学生の僕が、なぜ、サイト“ランボー・クラブ”のトップページに掲げられたフランス語の詩を読めるのだろうか?僕はいったい誰なのか?ある日、そのランボーの詩が書き換えられ、その詩が暗示する殺人事件が…。色覚障害の少年をめぐる事件の驚くべき真相。鮎川哲也賞受賞作家が贈る渾身の本格ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじみどり
17
アチュール・ランボーの詩に準えた殺人、色覚障害の麗しき少年というキーワードから感傷的で自己陶酔的な内容を想像したが純粋なミステリだった。自分の意見などいっさい介入する余地のない密室のような隔離された空間で時間を忘れたい。私がミステリにのぞむことはそれに尽きる。その意味では意識を簡潔に保てなかったが、秋の夜長を過ごすには充分なお供である。2012/11/09
野の花
13
ランボーと表紙の絵に惹かれて読んでみた。面白く、どんどん引き込まれていく。色々な疑問が、頭いっぱいになり、結果が早く知りたくなる。最後の方で、まさかあの人が?と気付いた時はゾッとする。2016/01/30
ち~
8
色覚障害の少年の記憶に薄っすら残る、色彩の記憶とフランス語を読める不思議。自分の脳をめぐる争い。ランボーの詩に見立てた連続殺人、密室の謎、入れ替わった戸籍。続々と謎が提示されていきます。暗い雰囲気の話ですが途中から登場する探偵コンビの会話が楽しくてその雰囲気も和らぎます。サスペンス的な要素もあり、読み応えがありました。2014/02/17
itica
5
フランス人の霊が乗り移ったとか、前世がフランス人だったという話かと思っていたら、しごくまっとうなミステリーだった(苦笑)。しかし、推理力の乏しい私には終盤近くまで謎だらけで、話の先が全く見えてこなかった。菊巳の母がもう少し前に息子に打ち明けていたら、こんな大ごとにはならなかったのにね。って思うくらい、ちょっと不自然さがあったかも。2010/02/06
外道皇帝
5
色覚障害の少年の記憶をめぐるミステリ。ランボーの詩をもじって書き換えられたホームページの通りに殺人が起こる。菊巳の過去と記憶の謎という実に魅力的な素材と不可能的密室というこれまた魅力的な謎が組み合わさっているのに中盤がダレぎみなのが惜しい。ラストもたたみかけるような怒涛の解決はちょっと急ぎ過ぎ。一番の欠点は探偵事務所の健一の軽すぎる性格。実に探偵に不向きとしか思えない。この作品の雰囲気を一人で壊しているように思えて仕方ない、がしかし、そういう欠点を差し置いてもこの作品は良品です。2009/11/17
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