出版社内容情報
漱石の『吾輩は猫である』の原点と言われる
教養ある天才猫ムルが自らの人生を綴った奇書!
幻想文学の鬼才・ホフマン最大の問題作を
名手の翻訳で贈ります。
祖先に『長靴をはいた猫』を持ち、捨てられた子猫時代にある魔術師に助けられ、主人の机の上で、彼が本を音読するのを聴き、文字を目で追い、ドイツ語を習得した牡猫ムル。羽根ペンで自伝を書くようになると、近くにあった『クライスラー伝』のページを破っては、吸い取り紙として挟み込んでいたため、編集人ホフマンがその原稿を出版社に渡して、出来上がってみると、ムルの自伝は『クライスラー伝』とのつぎはぎの二重構造の作品になっていた! しかも『クライスラー伝』の部分は犯罪小説仕立て、という奇怪な物語なのである。
内容説明
猫のムルは生まれたての子猫の時、稀代の知識人にして奇術師アブラハム氏によって、橋の下から拾いあげられ、大切に育てられた。アブラハム氏の家にいるあいだにムルは、氏が書き物をするそば近くに陣取って、読み書きを習得したのだった。そして、自らの人生を回想する原稿を書き始めたが、羽根ペンで書いては、近くにあった一冊の本、『楽長ヨハネス・クライスラーの伝記』のページをちぎり、吸取紙や下敷として原稿にはさんだのだった。いざ、原稿を出版する運びとなった折、印刷所が、はさまれた『クライスラー伝』をうっかりそのまま組み込んで印刷してしまったというのが、本書である。つまり、牡猫ムルが自らの人生を語っている文章のそこここに、音楽家クライスラーの伝記が、はさみ込まれているという二重構造の物語(二重小説)なのである。猫が主人公の動物小説であり、怪奇小説であり、犯罪小説であり恋愛小説でもあるという贅沢なこの物語は、当初は全三巻を予定していたのだが、著者ホフマンの死によって、第二巻で未完のまま終わっている。
感想・レビュー
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おだまん
Malos
阪口まな
Mark.jr
なんなん