海外文学セレクション<br> 本当の人生

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海外文学セレクション
本当の人生

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  • サイズ 46判/ページ数 224p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784488016739
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

狩猟が趣味のDV男の父、夫の顔色をうかがうだけの母。少女は明るい弟と仲良く遊ぶ無邪気な日々を送っていたが、ある日、恐ろしい事故を目撃してから弟は笑わなくなり、父の剥製部屋にこもって小動物をいじめたりするようになってしまう。十歳の少女は、現実をリセットしたいと思う。あの事故をなかったことにしたい……。利発な少女は弟の笑顔をとりもどせるのか? 本当の人生の“下書き”にしか見えないこの人生を消し去ることはできるのか? ELLE 読者大賞、高校生が選ぶルノードー賞他多数の文学賞を受賞した傑作。

内容説明

家には四つの部屋があった。両親の部屋、私の部屋、弟ジルの部屋、そして死体の部屋…。それは狩猟が趣味の父親が戦利品をしまう剥製の部屋だった。暴力的な父親と、その顔色をうかがうだけのアメーバのような母親。そんな両親との暮らしだったが、十歳の少女は四歳年下の無邪気な弟と楽しい日々を送っていた。しかしある日、アイスクリーム売りを見舞った事故を目撃した時から、弟は変わってしまった。無邪気な笑みは消え、剥製の部屋にこもるようになり、虫や動物をいじめるように…。なんとかしてあの無邪気な笑顔を取り戻したい!現実をリセットしたい!利発な少女の試みは?Fnac小説大賞、高校生が選ぶルノードー賞、ELLE読者賞他14の文学賞を受賞。

著者等紹介

デュドネ,アドリーヌ[デュドネ,アドリーヌ] [Dieudonn´e,Adeline]
1982年ベルギー生まれ。初の短編小説でワロン・ブリュッセル連合文学賞を受賞。『本当の人生』はFnac小説大賞。ELLE読者賞。高校生が選ぶルノードー賞等、数々の文学賞を受賞。ブリュッセル在住

藤田真利子[フジタマリコ]
1951年福島県生まれ。東北大学文学部卒業。英仏翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けろりん

61
読み終えて気づく。この物語の語り手の少女の名を私は知らない。彼女の父母の名前も。暴力と死んだ動物が支配する家では〈わたし〉〈父母〉はただの符牒に過ぎない。弟の〈ジル〉の他は。10歳と6歳。お互いの笑顔と混じりけのない愛情だけで魔法の時間を生きていた姉弟に灰色の魔物が忍び寄る。無垢なジルの頭に侵入し、笑顔を奪い邪悪なものを注ぎ込もうとしている。恐怖に苛まれる今に対抗し、本当に生きている状態を求める少女の闘いの痛ましさに胸が締め付けられる。未来を、本当の自分を手に入れて欲しいと心から願い、苦しい読書を了えた。2020/10/31

キムチ27

59
高校生が選ぶ賞をゲットした他多数受賞・・とあるがそんな冠より、中身の凄さにガッツン。昔は親の陰に隠れて埋もれたDVが多々あったであろう想いを持つ。少女はDVの父と人格の薄い母、弟と4人暮らし。ある日目撃した凄惨な事故。幼い子の精神が壊れ。。姉がとったその後の行動は。舞台となる4つの場面・・それぞれの部屋での空気感がリアル。そこで見る幻影のような、現実と狂気のはざまで蠢く無気味さが行間から湧き上がってくる。2020/03/18

ヘラジカ

56
悪の発露、暴力の継承とは何かを理性的な筆致によって書き上げた衝撃作。つい先日発売された『アルジェリア、シャラ通りの小さな書店』と同じく<高校生が選ぶルノードー賞>受賞作でもある。こちらは更に学生向けとは思えない凄まじい小説だった。腐りきった家庭を純粋な子供の目線から描いた作品は読むのが本当に辛い。中盤からは下手なホラーよりも読み進めるのが恐ろしいくらいだった。暴力の両面性についての問いかけでありながら、優れたサスペンス小説としても完成している。賛否分かれそうなラストこそ高校生に支持される理由かも。2019/11/30

星落秋風五丈原

30
支配的な父親のもと息をひそめて生きる母と娘と息子。息子はやがて衝撃的な死を目の前にして命を絶つことに興味を抱いていく。めちゃくちゃYAをはみ出した内容。よく高校生読みましたね。 2020/08/13

小太郎

26
14もの文学賞を受賞した作品。高校生の選ぶルノード賞というのもあるので安心して読んだんですが、なんとも凄惨な家庭内暴力の話で面食らいました。主人公は10歳の少女、父母との4人暮らしだが、その家庭は父親の圧倒的な暴力に支配されていました。読んでいてこんなの高校生に読ましちゃマズイんじゃないのと心配になるほどのDVが満載。なんとか6歳の弟を守ろうとする主人公の健気さに胸を打たれます。ただありきたりのDV話かと言うと最後のオチを含めてこれは傑作。これを選んだ高校生侮れません。2020/07/09

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