出版社内容情報
ノーベル賞受賞作家マリオ・バルガス・リョサを驚嘆せしめたゴンクール賞最優秀新人賞受賞の傑作。金髪の野獣と呼ばれたナチのユダヤ人大量虐殺の責任者ハイドリヒと彼の暗殺者である二人の青年をノンフィクション的手法で描き読者を慄然させる傑作。
内容説明
ユダヤ人大量虐殺の首謀者、金髪の野獣ハイドリヒ。彼を暗殺すべく、二人の青年はプラハに潜入した。ゴンクール賞最優秀新人賞受賞作、リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞受賞作。
著者等紹介
ビネ,ローラン[ビネ,ローラン] [Binet,Laurent]
1972年パリ生まれ。パリ大学で現代文学を修め、兵役でフランス語教師としてスロヴァキアに赴任、その後、パリ第3大学、第8大学で教鞭を執る。『HHhH―プラハ、1942年』が小説第一作で2010年度にゴンクール賞最優秀新人賞を受賞。翌年、リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞を受賞した
高橋啓[タカハシケイ]
1953年北海道生まれ。翻訳家。早稲田大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
170
決して読みやすくない。英仏独に加え、チェコやスロバキアの土地や人物の名前が次々に出てくるし、作者の回想、本を書くにあたっての準備、他の作家についての批評を交え、自分の調べた資料、登場人物や出来事についての感想を織り込みながら作者は語っていく。重要そうな登場人物に付箋をつけながら苦労して読み進める。しかし、ページをめくる手は止まらない。作者の手法に引き込まれ、彼の世界に自らも入り込み、彼の横に立って事件を眺め、胸をかきむしりながら暗殺事件の結末にたどり着いた。最後の数ページでは口を覆った。紛れもない傑作。2014/08/28
マエダ
169
「金髪の野獣」と渾名されユダヤ人大量虐殺の責任者であるハイドリヒ そのハイドリヒを狙い二人のパラシュート部隊、クビシュとガブチークが類人猿作戦(暗殺計画)を実行していく物語であるが、主要人物はこの三人だけではない、著者のビネ自身も膨大な資料とイマジネーションを武器に1942年のプラハの世界に入っていく、決して史実を捻じ曲げたりすることなく、細部へのこだわりは常軌を逸していて「小説とは何か」を考えさせられる。 装幀もかなり挑戦的であり作品への自信が感じられ、間違いなく今年読んだ本の中で一番面白かった。2015/10/12
紅はこべ
150
フランス人の語り手は自国のナチ協力者、チェコスロヴァキアを救えなかった当時の仏英政府に厳しい。それは自虐史観などではなく、正当な評価だと思う。日本人もこれくらい自国史に対し、冷静でいられるといい。
ケンイチミズバ
147
誰もが最後の晩餐でユダを裏切り者と認識する。ベニスの商人でユダヤ人は強欲者とカリカチュアライズされ嫌われ者なんだと思う。ハイドリヒは学業成績が優秀でユダヤ系の名前であるために苛められた。父親はドイツが英仏から嫉まれるのは優れているからだよと教える。不況の折、軍に志願するのが得策と判断するのも自然の流れで時の運ややり手の妻の存在もあり、組織で頭角を現す。家系を遡ればユダヤの血が混じっている恐れ、幼少期から刷り込まれた反ユダヤ感情とが誰も自分を陥れることのできないトップに立つ野心を煽り最悪の戦争犯罪人となる。2019/01/22
kana
131
終わりの見えない暗くて長いトンネルのように始まっていくヒトラーの統治。ハイドリヒの台頭、ナチスによるチェコ占領、類人猿作戦、そしてその報復の顛末まで。時に何が真実かを迷いながら、時に卑怯な歴史上の人物へ激怒しながら、時に定められた虚しい結末を書くことに抵抗を感じながら、1人の執筆者が時間をかけ、徹底的に《歴史》を描き出す…その過程までもを収める意欲的な作品。素晴らしいとか面白いといった安易な感想を抱くことは躊躇われますが、これほどの気迫に満ちた作品に出逢えたことは読者冥利に尽きるというものです。2013/11/19
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