海外文学セレクション<br> 殺す

海外文学セレクション
殺す

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  • サイズ B6判/ページ数 123p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016203
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ロンドン郊外に新設された、超高級住宅地で発生した大量殺人事件。家政婦、ガードマンを含む三十二人の大人全員が殺害され、十三人の子供が誘拐された。警察の捜査では迷宮入りしかけたこの事件に、内務省は精神分析医グレヴィルを招聘する。さまざまな仮説が検討されるが、捜査は一向に進展をみない。だがある日、行方の知れなかった子供の一人が、心身喪失状態で発見された。少女との対面のなかで、精神分析医が見出した残酷な真実とは。現代社会の病に挑んだ、鬼才作家の予言の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アーちゃん

22
図書館本。「ハイ・ライズ」の前哨戦として読んだ小品。1987年に実際に起きた「ハンガーフォード事件」を下敷きにした、超高級住宅地での32人の大量殺人と13人の子供達が行方不明になった事件を精神分析医が調査します。この「超」高級住宅地、芝生を荒らすからという理由でペットも飼えず、夜間はドーベルマンつきの警備ありとどこか歪んでおり、これが事件の要因だったりします。私は1998年発行版を読みましたが、解説を読んでカレー事件や毒入りお茶事件などがあったのがこの頃(1998)だった事を思い出しました。2017/01/15

Ai

13
高級住宅街で起こった大量殺人事件。事件の真相によって、平和な社会に溜まった憎悪を明らかにする。バラードのこういうヴィジョンが好きだ。バラードが幻視するテロや革命は、階級社会の下層から起こるのではなく、中流もしくは上流が自壊することで起きると予期させる。2021/03/30

Le Petit Prince

5
たった120ページほどの本なので、ぜい肉は一切ついていない。作者はニューウェーブSFで有名なだけにSFというジャンルで読むこともできるし、タイトルから入ってサスペンスとして、または物語からは世の中に警鐘を鳴らす社会派ノンフィクションとしても。つまり解釈と評価はまさに千差万別でそこが楽しいと言える。ただ原題「Running Wild(暴れまわる)」に対してこの邦題はちょっといただけないなー。作者の意図と違うところに持ってかれそうで。2011/10/27

スターライト

4
外部から安全に守られ、富裕層が住む超高級住宅地パングボーン・ヴィレッジで起こった大量殺人を、法医学者である主人公の手記の形で追っていく作品。残念ながらこうした大量殺人は21世紀の今でもなくならないが、理想的(だが閉鎖的)な地域社会で引き起こされた悲惨な事件を通して現代人の心の闇をえぐるバラードの、切れ味は鋭い。最近文庫化されたが、広く読まれていい小説だろう。2011/09/05

からすとうさぎ

3
高級住宅地で32人の大人が殺害され13人の子供が消える。きわめて単純な120ページの記録小説で、事件の真相はあっても物語としてのオチはない。ワンアイデアの社会風刺的な内容だが、1988年に出版された作品であるためか、今見ると目新しさはない。時代遅れというよりも、こういう感覚が当たり前のものになりすぎた(それだけバラードの目が的確だったとも言えるのか)。ならばなおさらすぐに陳腐化してしまいそうだが、骨子だけを突き詰めたシンプルな構成のおかげで、本作はアイデアの鋭さをそのまま残している。2013/01/08

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