感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しろ
5
☆6 謎が物語を動かしていく。どこかのミステリ評論で見かけたこのタイトルに惹かれて購読。自身がミステリ作家でもあるナルスジャックが、クイーンなどの有力作家の作品を丁寧に解体しながら、推理小説を書く過程・読む過程を明らかにしている。ミステリが構造美だった時代、文学とはまったく違う方向に進歩し、人間の感情を排除した純粋な美しさを求めた。その少し後、サスペンスなどでは文学とミステリの間をとり、心情も描いていった。ミステリとは、最もミステリ性のない文学で、なぜなら提示される謎は全て(形式上)解かれる。⇒2012/03/08