内容説明
ザトウクジラの群れの長夫婦のあいだに生まれた真っ白な仔クジラ、フラレカナ。彼には、時を超えた幻影を見、さらに人間とも心を通わせる不思議な力がある。彼は、海洋核実験を中止させようと活動している若き海洋生物学者マークと友だちになった。だがマークは船に爆弾を設置され、それを救おうとしたフラレカナは瀕死の重傷を負ってしまった。傷を癒したフラレカナを迎え、群れは餌場を求めて「世界の果ての氷」へと旅立つが、そこで彼らを待っていたのは、人間のつくった「見えない火」の脅威だった。詩人でもある著者が、創作詩を自在に織りまぜて贈る、海洋ファンタジーの名品。『白いクジラ』につづく、海と生命と大自然への賛歌。「クジラの歌」3部作完結編。