内容説明
無一文で父親に捨てられ、母親とともに川べりの寒村にやってきた少年が耳のきこえない少女と出逢う。誰かを必要としていた二人はあまりにも違う境遇をこえ、惹かれあうようになるが…。心ない噂がとびかう村で二人の想いはかなうのか?リアルで痛切な恋の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
48
これは掘り出しもの。白鳥を飼うヒロインなんて!そして白鳥を犬の首輪に繋いで教会に行くなんて!神父「白鳥はだめです」に、この物語の全てが含まれているように思いました。ヒロインのエイプリルのような女の子は、どうしたら社会から孤立せずに生きていけるのだろうか。他人に無関心な都会よりも閉鎖的な地域での『少し変わり者』は、それだけで娯楽の種になってしまう。この本はボーイミーツガールの恋愛ものでは終わらない。作者から読者、社会へ向けた問いかけでもあります。忘れられない本になりそう。2018/08/14
seacalf
36
またひとり忘れられないヒロインが登場。不思議なくらい登録数が少ないが、もっともっと読まれてもいいすごく良い本。確かにエイプリルに対する周囲の理不尽すぎる仕打ちや境遇に胸が痛くなるが、それを補って余りある素晴らしさが沢山隠されている。逆境をはね飛ばすしなやかさと品を兼ね備えたバーバラ婦人がとても優雅でチャーミング。彼女の小気味良い采配に胸がすく思い。白鳥を捕らえるシーンは秀逸。二人の高揚感が感化して、読者をも大きな喜びに包み込んでくれる素晴らしい一場面。切ない展開もあるが最後の手紙が爽やかさを届けてくれる。2017/11/29
星落秋風五丈原
24
1925年。無一文で父親に捨てられ、母親と共に川べりの寒村にやって来た少年トニーが耳の聞こえない少女エイプリルに出逢う。誰かを必要としていた二人はあまりに違う境遇を越え惹かれあうようになるが。心ない噂が飛び交う村で二人の思いはどこへ行くのだろうか?リアルで痛切な恋の物語。2002/03/16
桜もち 太郎
8
耳の聞こえない少女エイプリルとトニー少年との恋物語。町の連中がエイプリルに対する仕打ちが酷すぎて・・・。悲しみを声に出すことができないエイプリル。何という健気さ!それに対してトニーの心の弱さが若干気になる所。それを含めてトニーを愛するエイプリルはやっぱり偉い。トニーがエイプリルを求めて川をボートで渡る描写は翻訳とは思えないほど良かった。いい意味で期待を裏切られた作品。2018/09/09
oyasumi
6
タイトルに惹かれて読んだ。 決してハッピーエンドとはいえないティーンエイジャーの恋物語。 現実というものを知る年齢となってみれば、傷つけられた少女が世間に悪者扱いされるのは痛いくらいに分かる。 ただ、これは今から100年近くも前のイギリスが舞台。なのに今も状況は少しも変わっていないということに暗い怒りを覚える。 エイプリルが幸せな生涯を送れたことを心から願う。 2017/10/25
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- 和書
- 水 ちきゅうのえほん 3