内容説明
哀調を帯びた音楽的な鳴き声で“歌うクジラ”と呼ばれるザトウクジラ。その群れの族長夫婦のあいだに、真っ白な子どもが生まれた。彼の名はフラレカナ。そして彼には、ほかの仲間たちとは違う、不思議な能力があった。時を超えた幻影を見ることができ、さらに人間とも心をかよわせることができたのだ…詩人としても有名な著者が、「クジラの歌」につづき、創作詩を自在に織りまぜて贈る海洋ファンタジーの名品。海と生命と大自然への賛歌。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっぱ
15
主人公は、ザトウクジラの「フラレカナ」。雄のクジラ。読んでるうちに、自分も海の中の生き物になった様な気がした。海の中の生き物から人間を見るとその様に見えるのかと面白かった。人間に限らず、すべての生き物も色々な想いを抱いて、この星に生きている。本当に面白いと思った。ザトウクジラの「フラレカナ・コルヤ」と人間の少年「マーク」との友情が、すごく良かった。マークとフラレカナ、地球を救おうとする者とそれをサポートする者として選ばれし者。海の生物の壮大なロマン。クジラの歌う歌が、とても素敵だった。2013/04/09
月夜乃 海花
5
ザトウクジラのフラレカナ。彼は他のクジラと違い、時を超えた幻影を見ることができた。それだけではなく、人間と心を通わせることもできた。著者はクジラの心を詩で表していた。またクジラの視点で海を感じたことは無かったので環境問題などを考えるとすごく複雑になってしまう。詩的な美しい作品でした。2017/11/26