内容説明
傑作短編「黒い玉」他、ベルギー幻想派の作家による、ひと味ちがう不気味な物語14編。怖い話、気味の悪い話、いやな話がお好きな方々に。あえて夜一人でお読みになることをおすすめします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃおんある
31
得体のしれないもの、そんなものに出くわしてしまうということはあまりない。キノコの世界もほんとカオスだけど、それが家の中に動物として現れたら、対峙しなくてはならない。蚊、蝿、ゴキブリならば殺す、ヤモリなら縁起がいいのでほおっておく。訳の分からない黒い玉の生き物なら、やはり殺さなくてならないだろう。それか、自分が家を出ていくしかない。でも本当はいい奴かもしれない。果たして闘鶏のように殺し合うことが、どちらかが生き残るが重要なのだろうか。コンキスタドールが先住民同士を仲違いさせしめしめと征服したように、→2019/10/22
星落秋風五丈原
22
毎回有名小説の冒頭が掲げられるベルギー怪奇譚。2019/09/26
ミツ
19
暗く冷たい夜に、さらさらと降る雨音。ひとりのはずなのにふと感じる視線、そっと背筋を撫でられたようなさむけ、それが本書である。雨の夜に出会った女、不気味な屋敷、呪いの人形といったオカルトチックで古めかしいガジェットはもはや様式美といってよく、どの作品も黒く皮肉の利いたオチがつく。短編集としての出来の良さもさることながら、副題にもあるとおり言い知れない不気味さが際だち、日常のなかにふと紛れ込んだ異物、違和感、悪意や狂気といったものがいとも容易く顕現する様はぞっとするものがある。敢えて夜にひとりで読んでほしい。2016/08/21
あたびー
9
20世紀中頃に主に執筆したベルギーの作家だが、妙にゴシックな雰囲気が付きまとう。19世紀末象徴主義の末裔と言うからだろうか?また象徴主義と言われると身構えてしまうのだが、奇妙な雰囲気だけに着目するようにして読んだ。1冊の短編集をこの「黒い玉」と「青い蛇」に分割してある。表題作は日本人なら100%「マックロクロスケやろ、それ」と言いたくなるやつ。でも話はそこから予想と違う方向に。妖婦、サディスト、ヴァンプなど負のイメージを持つ女性像。悲惨な結婚の数々。色々あったんだろうなぁ。2019/03/19
竜王五代の人
3
元になった本自体が著者の傑作選で、そこからさらに半分ほどを選んだのがこの本、残りが姉妹編「青い蛇」だという話だけど、こちらの方が面白い半分ではないかと思う。やはり死と幻想が色濃い。しかし悪意を取り上げたような「売り別荘」「謎の情報提供者」のような話は「青い蛇」にはない。/一番目の「雨の中の娘」、主人公は「ドッペルゲンガー」という名前なのだろうか?2022/07/10