内容説明
迷宮構造をもつ文書館を備えた、中世北イタリアの僧院で「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が。バスカヴィルのウィリアム修道士が事件の陰には一冊の書物の存在があることを探り出したが…。精緻な推理小説の中に碩学エーコがしかけた知のたくらみ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
472
時は14世紀初め。キリスト教世界有数の蔵書を誇る知の殿堂、メルク修道院を舞台に物語は展開する。様々な記号が氾濫する森の中を、我々読者は修道士ウィリアムの導きによって、半ば酩酊しながら進んでいくことになる。物語世界は錯綜しており、どうやらウィリアムによる事件の解決が唯一のプロットを構成するわけではなさそうだ。時の教皇はアヴィニョンのヨハネス22世。フランシスコ会への介入と異端審問で名高い教皇。カトリック内部での複雑極まりない対立もまた、物語に深く関与している。間もなく、教皇からの使節団を迎え一気に下巻へ。2016/03/12
Kircheis
396
★★★★☆ 再読だか、それでも難解で読むのに時間がかかった。 12世紀イタリアの僧院で起こった連続殺人事件を、かつて異端審問官だったバスカヴィルのウィリアムが探る。そしてワトソン役として物語の語り手となるのは当時見習修道士だったアドソ。 登場人物たちの語る言葉の内容は、深い神学の知識がないと理解するのは困難だろう。 迷路のような文書館には何が隠されているのか、キリスト教における「笑い」の意味とは何か、誰が何のために殺人を犯すのか、教皇派と僧院側の会談の行方はどうなるか。 様々な謎を残したまま下巻へ。2022/06/13
遥かなる想い
159
1991年度このミステリーがすごい!の海外部門1位。正直読んでいてその良さがわからなかった。ヨーロッパ中世のしかもキリスト教の異端問題から 始まって、舞台が修道院となると、日本人の私には理解不能だった。ホームズとワトソンのコンビを思わせるウィリアムがもっと推理をめぐらすのかと期待したが、上巻ではそれもなく唯一の救いは、例えようもない異端をめぐる争いの雰囲気を楽しめたことか。下巻に期待したい 2013/05/03
れみ
137
中世イタリアの修道院で起こる殺人事件を二人の修道士ウィリアムとアドソが解き明かそうとするお話…なんだけど、このお話の舞台背景として描かれるキリスト教の様々な宗派とか権力との関係とか禅問答的部分がとにかく難解で大変。だけど、本筋のお話とか中世の修道院の描写や謎に満ちた図書館のある建物とか、ミステリーとして魅力的な要素もたくさんあって面白い部分も多い。下巻も頑張って読み進めよう…。2018/09/10
テンちゃん
131
14世紀(⊙.⊙)「キリスト教世界!」∑(◎◎ノ)ノ中世の生活観!⇨「教皇」o(>_<)o「皇帝」ヽ(`⌒´)ノ対立!(๑•̀ㅂ•́)و✧交渉!⇨中世イタリア(¯―¯٥) 修道院!(இoஇ; )「連続殺人事件!」⇨高僧ウィリアム!(☆皿☆)弟子アドソ!⇨「修道士の死!」( ✧Д✧) 「捜査!」⇨「事件の真相!」(☆`Д´)「秘密❢」∑(°口°๑)❢❢「文書館❢」⇨『ヨハネの黙示録に従った殺人事件❢』(゚□゚ψ)ψ『事件の陰❢』Σ(●゚д゚●)『一冊の書物の存在❢』傑作作品。☆( ✧Д✧) 4.82016/02/20