内容説明
十歳のダニーは小柄で胸板は薄く、腕も細い。ガニ股で、髪はいつもバサバサ。小さな顔に大きな耳と大きな鼻、歯並びはよくない。どでかいレンズ、ごついニッケルフレームのメガネをかけている(懐中電灯の明かりで本を読むのがいけないのかもしれない)。そして頭の中には、とてつもないアイデアを生み出す、小さな灰色の脳細胞。舞台は1915年のアメリカ、マーク・トウェインも住んでいたニューヨーク州の小さな町、エルマイラ。ダニーは友達のチャドやサートリアスと共に、トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンさながらの日々を過ごす。セメント袋の山で遊び、海賊ジョン・シルバーの幽霊を呼び出し、シャーロック・ホームズ物の新刊を読み、詩を書いて新聞社に送り、大岡裁きをやってのけ、九回裏二死満塁のバッターボックスに立ち、暗号を解読し、開拓者になりきってインディアンと戦い、犯人を尾行し、ビジネスに打って出て…と、少年の夏はとにかく忙しい。巨匠エラリー・クイーンの半身フレデリック・ダネイ(=ダニエル・ネイサン)が物した本書は、『トム・ソーヤーの冒険』の味わいにミステリの手法が効果的に配された少年小説。ひと夏の冒険が終わる新学期初日の切なさに至るまで、郷愁を誘わずにいないエピソード満載の物語である。
著者等紹介
ネイサン,ダニエル[ネイサン,ダニエル][Nathan,Daniel]
1905年、ニューヨーク、ブルックリン生まれ。後にフレデリック・ダネイFrederic Dannayと改名。1982年逝去。高校卒業後コピーライター兼アートディレクターとして働く傍ら、いとこのマンフレッド・B・リー(1905‐1971)と共に『ローマ帽子の謎』を執筆し、長編ミステリのコンテストに応募。アンソニー・バウチャーによって「アメリカの探偵小説そのもの」と称された作家エラリー・クイーンが、ここに誕生した。以降、探偵に著者と同名のエラリー・クイーンを起用した国名シリーズや、ドルリー・レーンを起用した悲劇四部作など、著書多数。また、雑誌編集、アンソロジー編纂、書誌学的研究にも尽力した。綾辻行人、鮎川哲也、有栖川有栖、江戸川乱歩、北村薫、法月綸太郎、山口雅也ら、日本の作家・作風に与えた影響も計り知れない巨匠である
谷口年史[タニグチトシフミ]
1958年、京都市生まれ。京都外国語大学、サイマルアカデミー京都アイビー校通訳科を経て、現在企業系翻訳家・観光ガイド業
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
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