内容説明
僕、坂木司とひきこもりの友人、鳥井真一との間にも、変化の兆しはゆっくりと、だが確実に訪れていた。やがていつの日か、友が開かれた世界に向かって飛び立っていくのではないか、という予感が、僕の心を悩ませる。そんな僕の同僚、吉成から同期の佐久間恭子の様子が最近おかしい、と相談されたり、週に一回、木工教室の講師をするようになったという木村さんからの誘いで、浅草に通うことになった僕たちが、地下鉄の駅で駅員から相談を受けたり、と名探偵・鳥井真一の出番は絶えない。さらには、僕の身辺が俄に騒がしくなり、街で女の子から襲撃されることが相次ぐ。新しく仲間に加わった少年と父親との確執の裏にあるものとともに、鳥井が看破した真実とは…?『青空の卵』で衝撃のデビューを飾った坂木司の第二作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
112
坂木&鳥井シリーズ2作目です。今回は3編から構成される作りでした。前作で人物設定をしっかりと終えているからか、今作は1編あたりが少し長めに書かれているようです。その追加?された長さが若干、ダルく感じなくもなかったかなと。前作はショートかつコンパクトにまとめてくれていただけに、少し違和感がありました。あと、どうしてもなじめないのが「坂木」が悲しんだ時の「鳥井」の対応(行動)です。「坂木」が感動屋さんなのはわかるのですが、ソレに連動して「鳥井」がいつもあんな風になるのは、どうしてもしっくりとこないのです。2014/06/08
パフちゃん@かのん変更
73
引きこもり探偵シリーズ第2弾。鳥井の読みの鋭さ、人の心の機微を感じる繊細さ、雑学的な知識の豊富さ・・・ひきこもりでそれだけの要素を併せ持つには無理がありそうだけど、鳥井の推理が謎を解明してくれるのはすっきりする。そして登場人物の心の温かさにほっとする。2013/03/08
七色一味
71
読破。久々の坂木くんと鳥井くんのシリーズ2冊目。通勤電車の行き帰りとお昼休みのちょっとした時間で読みきれてしまうほど、すらすらと物語の中に入っていけます。先に『青空の卵』は読んでおいた方が、登場人物の背景をつかめてよろしいかと思いますよ。 なんとなく、次のシリーズの展開が想像できそうな書き方が随所に見られるのが気になります…。2011/12/16
yukision
68
シリーズ2作目。坂木君の持ち込む謎のお陰で引きこもりの鳥井君の世界が徐々に広がり,登場人物もどんどん増えているが,そんな中でも特に栄三郎さんの存在は大きい。鳥井君の推理の中には強引と感じるものもあったが,彼の推理で人々が救われていくという流れはほっとする。唯一,坂木君と鳥井君の共依存には不安感が残ってしまった。2021/10/21
風里
67
鳥居と坂木に限らず、人と人との関わりや距離感が浮き彫りになっている感じ。 解説?の「心は自分の胸の中にあるのではなく、自分と相手の間にある。だから、一人の子供の心が痛いという状況は周りの子供が作っている」というのは膝を打った。 次作で関係性がどうなっていくのか、それも楽しみ。2013/05/17
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