内容説明
アキヤ・ヨーク病。中年期に発病して死に至るという遺伝病。志方清吾は、自分の父を襲ったその病気を恐れ失踪した。精子バンクに預けていた精子を残したまま―。志方の失踪から二十数年、志方の血をひく子供たちは、受験、結婚、出産など、それぞれの岐路に立っていた。はたして遺伝病は受け継がれているのか、そして彼らの運命は。サイエンスミステリの鬼才が贈る衝撃の連作集。
著者等紹介
北川歩実[キタガワアユミ]
1993年第6回日本推理サスペンス大賞に投じた『僕を殺した女』でデビュー。サイエンスミステリの担い手として、独特な作風で人気を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかだ
21
中年になってから発症する恐ろしい遺伝病で父親が死に、その後姿を消した志方清吾。精子バンクに精子を残していた為、人工授精で彼の子供が数人、生まれている…という内容。ゴロゴロと状況が変わり、最後には全てを覆すような大きな仕掛けが。ミステリとしてとても楽しめた。でも、話をそんなにごちゃごちゃ複雑にする必要があるのかと…自分が発症するか知りたいならとっとと遺伝子検査すればよろしいのでは?と、時々我に返って思ってしまう話。2016/01/16
ホレイシア
12
登場人物の関係が複雑過ぎて嫌になることもある。だから人様には勧めないが、私が北川作品を読み続けるのは著者のテーマが一貫して「遺伝」だからだ。個人的に物心ついたころから「父のようになっては困る」と言われ続けて育ったもので、遺伝というものをどのようにとらえるかということにとても興味があるからだ。今のところ、私は我が家の遺伝子の鎖はここで終わらせるつもりでいる。何も考えずに子孫を残そうとする人たちに大きな羨望と少しの軽蔑を感じながら。2009/05/22
Jimmy
4
北川歩実の実質的最後の作品。得意の遺伝子や天才などの最先端医療技術ネタと、相変わらずの硬質なキャラに、さらにねじくれ人間関係炸裂の連作短編。今回もあまりにねじくれているため途中の謎解き・紐解きが理解できず飲み込めない。しかし長編一発で押すよりも連作だと途中ダレずに行けるのでこのスタイルでもっと作れたんじゃないでしょうかね。2020/02/16
はる
4
精子バンクから志方清吾の精子を買って生まれた子供たちには、アキヤ・ヨーク病という遺伝病にかかる可能性がある。君保を中心とした5話からなるストーリー。 一応、1話完結型。それぞれの話に、志方清吾の遺伝子を持つ子供たちが問題・事件を纏い出場する。君保と協力者の響子が問題解決をしていく。 最終5話でのオチは、「なるほど」と思わせる。前出のストーリーの伏線もちゃんと拾っている。しっかりと読ませてくれる感があった。 キャラクターも、君保と響子については好感が持てた。2011/10/08
mitsuru1
4
架空の遺伝疾患の可能性を知らず、精子提供に応じた物理学者は行方不明、彼の遺伝子を持つ子供たちの運命を描く連作短編で全体で一つの長編。この作者らしくねじ繰り回されてしまいます、あまり好みではないけど良く出来ていると思う。2009/08/31
-
- 洋書
- Small Wars