内容説明
記憶障害に悩む作家・鳴瀬君雄は、ある朝自宅で他殺死体を発見する。ポケットには血の付いたナイフ。脳裡によぎる女性の悲鳴と、凄惨な殺人の光景…やはりぼくは、殺人者なのか?「万華鏡連続殺人事件」を追う刑事、鈴木は奇妙な傷害事件に興味を抱く。被害者の名は鳴瀬君雄。重傷を負ったまま行方不明になった彼を捜して鳴瀬宅へ向かうが…壊れた記憶を抱えてさまよう男と、“そこにいない”相棒とともに事件を追う刑事。二人を待ち受ける驚愕の運命とは。
著者等紹介
山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年愛知県生まれ。74年発表のデビュー中編「神狩り」で第6回星雲賞を受賞。82年『最後の敵』で第3回日本SF大賞、2002年『ミステリ・オペラ』で第2回本格ミステリ大賞および第55回日本推理作家協会賞を受賞。ミステリ、SF、冒険小説など、多岐にわたる分野で活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
11
自分が殺人を犯したかも知れないという疑いに苦しむ記憶障害の男と、連続殺人事件を調査する風変わりな刑事。この二人の視点を交互にして、物語は進む。語り手が記憶障害なので、めくるめく印象。ポーの「大鴉」が重要な役割を果たす。SF的なミステリ。2008/04/26
san0604
9
話の流れが分からず 読むのに苦戦した。カオスコープとは・・・の説明でそれまでの話がはっきりする。記憶のパーツを万華鏡で掻き混ぜる そりゃ 意味わからなくなる訳だ やっと最後に分かって 簡単な?事件だったことは判明した。 カオスコープによるミステリーですねー 再読すれば 楽しめそうな本ではあるが 再読する気持ちにはならなかったりする。2019/04/25
けいちゃっぷ
5
途中は「どうなっているの?」「どうなるの?」という期待感もあり、ラストはわかったようなわからないような終わり方でしたが、それが返ってよかったのかな。 2006/09/14
goldius
3
交通事故を殺人に偽装する驚異の犯人!?2008/09/02
御光堂
2
この作品のテーマの通り、脳内をかき回されるようなすごいミステリーであり一種のSFでもある。少しずつ異なる記憶の断片がカットバックのように繰り返される。何が起きているのか、何が真実か、という興味でぐいぐい引っ張りこまれる。混乱するような内容なのに非常に読みやすいのが作者の力量。