内容説明
第二次世界大戦末期のヨーロッパ。ドイツ軍占領下のイギリス領ガーンジー島で、三人の他殺体が発見される。接点のみえない三者の間で一体何が起こったのか?捜査に携わることになった青年画家・星野は、事件関係者が密室で変死を遂げるに及んで、相次ぐ殺人の背後にヒトラーの切り札“ロムルス”の存在があることを知る。星野は“ロムルス”の行方を突き止めるため、崩壊寸前のベルリンに再度潜入を試みるが。鮎川哲也賞受賞作『写本室の迷宮』に続く歴史ミステリの雄編、満を持して登場。
著者等紹介
後藤均[ゴトウヒトシ]
1958年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1986年シカゴ大学経営大学院を卒業。02年、『写本室(スクリプトリウム)の迷宮』で第12回鮎川哲也賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
81
面白かったです。ヨーロッパの歴史がふんだんに盛り込まれた歴史ミステリーというのがツボにはまりました。ドイツ占領下の島で見つかった3つの他殺死体。接点のない3人の間に何が起こったのかを追いかける青年画家・星野。事件の関係者が変死を遂げたり、ヒトラーの切り札が存在したりと次々と謎が出てくる展開に引き込まれます。手記を元に、時代を超えて真実が明かされるのも、歴史の中に題材を取り入れたからでしょう。重厚な物語を堪能できた1冊です。2016/12/13
Cinejazz
9
フランス在住の日本人画家(星野泰夫)が、第二次大戦下のドイツ占領下イギリス領ガーンジ-島、ベルリン、パリ、東京を舞台に、ナチス千年帝国の野望に敢然と立ち向かう歴史ミステリです。ややもすると荒唐無稽と思えるような危なっかしい場面に当惑しますが、歴史的背景が物語の骨格として克明に語られており、著者の博学多才ぶりが窺える読み応え十分の歴史認識を問いかけられる作品です。著者の後藤均氏は、2020年11月に62歳で逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。2021/05/02
やまだん
8
「写本室の迷宮」の続編。「星野泰夫」の手記の謎に富井教授が挑む。第2次世界大戦の頃のヨーロッパが舞台。ドイツに占領されていたイギリス領土のガーンジー島における3人の死体が発見された事件,ベルリン郊外のゲストハウスでの密室殺人事件など描かれる。そして作中の最大の謎はヒトラーの切り札「ロムルス」の存在。プロローグの5つの情景がラストときっちり結びつくなど丁寧な伏線があるよくできたミステリ。その分,大きなサプライズはない。ミステリ慣れした人なら真相には気づいてしまいそう。また,やや冗長に感じた(55点)。2018/09/11
鐵太郎
8
歴史ネタてんこ盛りのミステリですね。面白い。肝心の殺人事件に関しては、ちょっと設定が無茶じゃないかと思ったけれど、読んでいて解けなかったのでまあいいか。それと最後の展開は意外でしたね。そうきたか。でも、歴史ミステリの方は解けました。「ロムルス」と「ヘンリー5世」、それにエーファ。なんとなくこうかなと思ったことが当たり。嬉しいなぁ。2010/08/17
TANI
4
自分にとっては、大当たりの一冊であった。伝記の形式をとることによって、時間は否応なくすらすらと流れていく。密室・トリックは本作の主題ではなかったと思うのだが、しっかりと機能していて純粋にミステリとしても、歴史ものとしても面白かった。これは一作目も読まないと。2018/09/13
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