きらめく共和国

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きらめく共和国

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  • サイズ 46判/ページ数 179p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488011055
  • NDC分類 963
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ジャングルと川に挟まれた亜熱帯の町に、理解不能な言葉を話す32人の子どもが現れた。彼らは物乞いをし盗みを働き、スーパーで市民に襲いかかる。そして数ヶ月後、不可解な状況で一斉に命を落とした――。子どもたちはどこからきたのか。なぜ死んだのか。社会福祉課職員として衝撃的な出来事に関わった語り手が、20数年後に謎をひもといていく。現代スペインを代表する作家が奇妙な事件を通して描く、純粋で残酷な子どもたちの物語。

内容説明

1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町サンクリストバルに、理解不能な言葉を話す子どもたちがどこからともなく現れた。彼らは物乞いをしたり盗みを働いたりして大人たちを不安に陥れ、さらにスーパーを襲撃した。そして数ヶ月後、不可解な状況で32人の子どもたちが一斉に命を落とした。子どもたちはどこから来たのか。どうして死ぬことになったのか。社会福祉課の課長として衝撃的な出来事に関わった語り手が、22年後のいま、謎をひもといていく―。現代スペインを代表する作家が奇妙な事件を通して描く、子どもの無邪気さと暴力性、そして野生と文明、保護と支配の対比。純粋で残酷な子どもたちの物語。

著者等紹介

バルバ,アンドレス[バルバ,アンドレス] [Barba,Andr´es]
1975年、スペインのマドリード生まれ。小説家、エッセイスト、写真家、脚本家、翻訳家として活躍。2001年に小説La hermana de Katiaでエラルデ小説賞の最終候補となり、世に知られるようになる。2006年に発表したVersiones de Teresaでトレンテ・バリェステル賞を受賞。2017年刊行の『きらめく共和国』でエラルデ小説賞を受賞。イギリスのグランタ誌で2010年に発表された、スペイン語圏の注目の若手作家22人のひとりにも選ばれている、現代スペイン文学を代表する作家

宇野和美[ウノカズミ]
東京外国語大学スペイン語学科卒業。バルセロナ自治大学言語文学教育修士課程修了。出版社勤務を経てスペイン語翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

95
32人の子どもたちが架空の街サンクリストバルに現れ、理解できない言語を話し、スーパーを襲撃し、街を混乱に陥れ、突如として死んだ。その街の社会福祉課で関わった主人公が22年前のその事件を語るが、彼の妻マヤとその連れ子ニーニャとの出会い、別れも絡み合い、暴力、死、野生など飼い馴らされていない子どもの残虐性と愛を描く。バルガス=リョサは「すでに自分の世界を完全に作り上げ、彼の年齢には似つかわしくない巧みさを持っている」と評す。著者は1975年マドリード生まれ、現在は配偶者の作家と彼女の出身地アルゼンチンに住む。2021/04/22

南雲吾朗

72
奇妙な三十二人の子供たちと成す術のない大人たちの物語り。始終漂う妙な感覚と後悔の念。 子供の観ている世界と、大人の観ている世界が、これほどまでに違うものなのか。結局、社会を形成しているのは大人であり、その大人が導かないと、やがて大人になる子供たちは違う世界に住むことになってしまう。文章を追いながら奇妙で野生の動物のような子供たちの世界観に触れていると、なぜか規律正しい大人の世界が味気ないモノに映ってきてしまう。(続く)2020/12/23

藤月はな(灯れ松明の火)

57
少し、昔の話。サンクリストバルへ見慣れぬ子供たちが出現した。彼らにしか通じない言語で話し合い、街へ襲撃、略奪、殺人、逃走を行う子供たちが。今までに接したことがないタイプの子供たちに大人たちは困惑し、慄き、疑心暗鬼になる。考えあぐねた大人たちが殺気立つが、その騒動は突如、終わりを迎える。大人はしばしば、「子供を理解できる」と豪語する。それは子供が自分と似通った家庭、教育機関、コミュニティで育ったと確信できる場合のみに通じる。大人は実は子供を一人の人として見ていないという驕りを突き付けるような物語だ。2021/03/24

白のヒメ

41
可愛らしい表装と題名からは想像できない重いお話。スペイン語圏のどこかの国の鬱蒼としたジャングルに接した町。家や家族の無い子供たちが32人、どこからか突然現れる。不思議な独特の言葉を話す彼らは、一体どこから来たのか。町の住人の生活を脅かすようになり事件が起こりはじめ、警察や町の大人たちが彼らを捕まえようとするのだが・・。日本では、実際にこういう事が起こる事は想像出来ないのだが、他の国ではあり得るということか。親の庇護を抜け出して暮らしたいと子供たちが思う動機は何なのだろうか。なんとも感想が難しい・・。2021/08/19

ちえ

39
カラフルな表紙、不穏な帯の惹句。中南米を思わせる亜熱帯の町で起きた事件。22年後、当時町の社会福祉課に勤務していた主人公の語りで謎が紐解かれる。大人には入れない子供の世界。そこに「自分たちの」子供たちが引き込まれていく恐れ。題名の意味するものが分かるときに、目の前にその光景が文字通り煌めきながら現れる。その直後に起きた出来事。<時折、町の真ん中で、ふいにそれがやってくることがある…だがいつしかその感覚も消えていく。私たちを置き去りにすることで死者は私たちを裏切るが、生きるために私たちも彼らを裏切るのだ>2022/10/10

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