こうしてイギリスから熊がいなくなりました

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  • サイズ B6判/ページ数 165p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488010829
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

昔々、森を徘徊する悪魔と言われた「熊精霊」。通夜で豪華な食事とともに故人の罪を食べる「罪喰い熊」。服を着て綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの地下に閉じこめられ、汚物を川へ運ぶ労役につかされた「下水熊」。人間に紛れて潜水士として働く「市民熊」。皮肉とユーモアを交えて独特の世界観で描かれる8つの奇妙な熊の物語。『10の奇妙な話』の著者がイギリスで絶滅してしまった熊に捧げる大人のための寓話。イラスト=デイヴィッド・ロバーツ。

ミック・ジャクソン[ミック・ジャクソン]
著・文・その他

田内志文[タウチシモン]
翻訳

内容説明

これは、イギリスで絶滅してしまった熊に捧げる、大人のための寓話です。電灯もオイル・ランプもなかった時代、夜中に森を徘徊する悪魔だと恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べたせいで、故人の罪を引き受けてしまった「罪食い熊」。サーカスが流行した時代、人間の服を着て綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。19世紀、ロンドンの下水道に閉じ込められ、町の汚物や溜まった雨水を川まで流す労役につかされていた「下水熊」。―ブッカー賞最終候補作家が、皮肉とユーモアを交えて独特の筆致で描く8つの奇妙な熊の物語。

著者等紹介

ジャクソン,ミック[ジャクソン,ミック] [Jackson,Mick]
1960年、イギリス生まれ。20代の頃はアメリカのロックバンドで活躍、その後短編映画の監督・脚本を手がけ、1997年に『穴掘り公爵』(新潮社)で作家デビュー。同書はイギリス最高の文学賞であるブッカー賞と、イギリスまたはアイルランド在住の作家に与えられるウィットブレッド賞(2006年からはコスタ賞)処女作賞の最終候補作となった

田内志文[タウチシモン]
翻訳家、物書き。小説の執筆や朗読も行っている。元スヌーカー選手で、スヌーカー・チーム世界選手権、アジア選手権日本代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nico🐬波待ち中

117
こうしてイギリスから熊がいなくなりました…正にこの邦題通りの短編集。読み進める内に古のイギリス人たちは何故こんなに熊に辛く当たるのか、そのあまりの仕打ちに読んでいるこちらも辛くなる。イギリスで野生の熊が絶滅した、という「現実」があるけれど、この作品は熊たちへの贖罪なのか。はたまた人間に対する警告なのか。ラスト、先を見据え大海原を進むイギリスの熊たちは数々の記憶を置き去りにし、自らの意思でイギリスを後にする。熊たちの心中を察すると、とても切ない。秋の夜長に深く考え込ませる作品だった。2018/11/02

MICK KICHI

112
ブリテン島から熊が姿を消したのは11世紀頃、夥しい数の個体が消えてしまっている。英国で狩猟の対象になった動物は膨大な種類と数になったらしい…。ニホンオオカミやカワウソの比じゃないような気がする。「クマのプーさん」や「パディントン」はぬいぐるみ、バッキンガム宮殿の近衛兵は熊皮の帽子を被っている。相当に奇妙だ。過去の贖罪かはたまた風刺か。そうした背景を寓話的に8つの話に散りばめて、イギリスの国民性を滑稽で悲しいトーンで語っている。神話的結末が熊や生き物たちへの哀悼に感じられてならない。2018/08/16

あも

93
難しい…。この短編集に収められた物語には何らかの寓意が込められているのだろうか。現実のイギリスにおいて、熊は狩猟の良き獲物であり、ベアーガーデンでは犬をけしかけられてしばしば死傷し、現在では野生の熊はいない。ということを鑑みると何かしらの教訓を感じられそうではあるが。もしくは被差別者のを表すアイコンとして。でも、単に奇妙な話、おかしな童話として読めば良かったのかな、と思う。ロープを渡って逃げ出す熊、下水道から物を拾ってきて人と取引をする熊。素晴らしく雰囲気のある挿絵の魅力とともに、不思議な物語に浸れれば。2018/11/23

ペグ

82
短編でありながら、全体的に緩やかに繋がる、人間たちの大騒ぎと、寡黙な熊達が印象的な八つのお話。硬質で無機質な画面に風が吹き雪が舞う挿絵も好き。仄暗い光の中静かにイギリスを去って行く熊達。ポール・ドハティ「アセルスタン修道士シリーズ」に描かれた鎖に繋がれ見世物になっていた熊を思い出します。あとがきから先に読んで納得。自分にとっての今年のベスト本です。2019/12/05

aquamarine

82
イギリスが島国であり、イギリスには野生のクマがいないということは、なにかの折に聞いて知っていました。この本はそんなイギリスからどうしてクマがいなくなってしまったのか、という大人のための童話。殆ど人間同様に人間のそばで暮らしていたクマたちは、精霊と恐れられたり、サーカスで働いたり、下水道に閉じ込められて労役につかされたりしています。8つのそれぞれのストーリーで最後にクマたちが取った行動は…。これをユーモアやアイロニーと捉えるか、人間の傲慢さを感じ取るか、人によって思うことは違うのかもしれません。たっぷりの→2018/08/10

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