出版社内容情報
現行の学校制度は、学歴偏重社会を生み、いまや社会全体が学校化されるに至っている。公教育の荒廃を根本から見つめなおし、人間的なみずみずしい作用を社会に及ぼす真の自主的な教育の在り方を問いなおした問題の書。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
39
著者の問題意識はわかりますが、結論から言えば「学校廃止」論とも言え極論です。僕は納得できませんでした。ただし、学校により目指される社会的規範が子どもたちに押し付けられ、それが本来の学びとは違う方向へとなっているという意味で学校に抗する必要性はわかります。また学校により身に付けられた規範が支配する社会を変えていく必要性もわかります。しかし、子どもは学ぶ主体者としてその発達欲求に深い信頼を置きつつ、適切な環境の中で育つ権利を持っており、脱学校論はその権利の重要性を見落としているのではないかと思いました。2018/09/13
松本直哉
37
よい詩歌も教科書に載った瞬間色あせ、未知の言語や自然への興味も授業で教わると萎えてしまう。学校という場所は勉強を嫌いにするところだとつくづく思う。人生で最も大切なことは学校以外で教わった。病院に依存する人が自ら治癒する力を失うのと同様に、同年齢の子を強制的に収容してパッケージされた課程を教え込むこの制度のなかでは、人は自発的に自由に思考する力を失う。脱学校の先に何がありうるのか、著者の提唱する新しい試みに必ずしも説得力があるわけではないが、すべての学校を爆破すべきだという年来の自分の考えは正しいとわかった2017/12/02
ステビア
14
教育を学校の軛から解き放て!2021/01/25
isao_key
12
解説で『脱学校の社会』とは、単に社会から学校を無くすことを指しているのではなく「社会の脱学校化をはかること」を意味する。イリッチが「脱学校」という場合、すべての学校を廃止したり、学習のための制度のない社会を目指すのではなく、学習や教育を回復するための制度の根本的な再編成を求めている。それは学校をめぐる形式的な変化ではなく、社会の改革をも意味している。本文でも「学校よりもまず最初に政治や経済の制度を改革することを指導しないで、なぜ、どこに通じる当てもない橋を築くことにエネルギーを傾けるのか」と言っている。2016/08/24
かんがく
11
50年前の本だが、学校化する社会、価値の制度化、数値化などに対する批判は現代でも通用するどころか、より問題は悪化しているのではないかと思う。提言されている代替案については、インターネットが発達した現代では技術的には実現可能かもしれないが、それで脱学校できるかというと疑問が残る。問題は根深い。2024/03/04