出版社内容情報
現代を代表する国文学者にして「令和」の考案者とされる中西進の卒寿記念出版。
中西万葉学の原点、本邦初公開。
中西万葉学、中西文学論、中西日本人論のすべての原点といえる、東大卒業論文を、90歳の原点として、令和の今、出版して世に問う。
400字×674枚の圧巻の手書き原稿がここによみがえる。
日本古代において、韻文と散文は如何に成立してきたのか。
卒業論文ながら極めて高い学術性は、現代の国文学者、国文学の学生らにとっても非常に有益な着眼点や論点を提供する。
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平安時代になると『源氏物語』にしろ『枕草子』にしろ堂々たる散文作品が登場するが、奈良時代には、なぜそれがないのか。もちろん「風土記」や「古事記」はあっても、それぞれ叙述目的は他にある。
その一方で長歌という、後には消えてしまう歌はいっぱいあって、やれ二人の男が一人の女に恋したとか、橋の上を渡っていく美女を見かけたから恋をしてみたいとか、すなおに散文で述べればいいのに、いかにも窮屈そうに長歌でしか歌わないのはなぜだ。
おかしい。もしかしたら古代日本人は「うた」以外には口が廻らなかったのか。
(「まえがき」より)
内容説明
中西万葉学の原点となった卒業論文。400字×674枚。圧巻の手書き原稿が66年の歳月を経て、活字によみがえる。
目次
第1章 散文文藝と韻文文藝(概説;散文文藝;韻文文藝)
第2章 敍事の潮流(概説;各説)
第3章 抒情詩の流動(概説;各説)
著者等紹介
中西進[ナカニシススム]
1929(昭和4)年8月21日生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院修了。文学博士。1963年刊行の『万葉集の比較文学的研究』により、読売文学賞、日本学士院賞受賞。その後の研究活動で、大佛次郎賞、菊池寛賞などを受賞。2013年、文化勲章受章。国際日本文化研究センター教授、大阪女子大学学長、京都市立芸術大学学長などを歴任。現在、京都市中央図書館館長、富山県高志の国文学館館長などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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