出版社内容情報
巨匠といえども人間,残した作品は傑作ばかりではなく,実は「失敗作」もあった。巨匠の名作を再検証し,新たな視点でその本質を探る
巨匠といえども人間,残した作品は傑作ばかりではなく,実は「失敗作」もあった。
名作が生まれるまでの試行錯誤のなかで生み出された作品や,後世ガラリと評価が変ってしまった作品,作者自身が全く評価していなかった作品などを再検証し,新たな視点で巨匠の本質を探る入門書。
内容説明
巨匠の代表作はほんとうに「傑作」なのか、それとも「失敗作」なのか?ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、フェルメール、ゴッホ、葛飾北斎、ピカソなど、美術史をいろどった15人の巨匠と代表作の“真相”を、専門家、関係者、美術家への取材を通じて再検証する。
目次
ダ・ヴィンチと最後の晩餐
ミケランジェロとダヴィデ像
フェルメールと真珠の耳飾りの少女
葛飾北斎と赤富士
ドラクロワと民衆を導く自由の女神
セザンヌとサント=ヴィクトワール山
モネと睡蓮
ゴッホとひまわり
ムンクと叫び
マティスとダンス
ピカソとゲルニカ
デュシャンと泉
岡本太郎と太陽の塔
ポロックとブルー・ポールズ
ウォーホルとゴールド・マリリン
著者等紹介
岡澤浩太郎[オカザワコウタロウ]
1977年生まれ、編集者。FMラジオ局J‐wave、雑誌『Tokion』編集部を経て雑誌『STUDIO VOICE』編集部にて主に現代アートを担当、2009年よりフリーランスにて現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
そらのひつじ
3
モナリザからウオーホルの『ゴールド・マリリン』まで、古今の巨匠の傑作代表作が取り上げられる。著者は、それは本当に傑作なのかと、定評から距離を置き、専門家や造詣の深い学者作家を取材し、巨匠の傑作を実は失敗作でもあるのではないかと見直していく、個性的な美術論評だ。フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』が有名な人気作でありながら、最高傑作となり得ない理由。ピカソの『ゲルニカ』付随する物語ゆえ20世紀の最高傑作だが、純粋にピカソの作品として観れば傑作ではない。などなど、目から鱗の落ちる名画の見方が刺激的だった。2014/10/21
kyhitsuji
2
タイトル紛らわしい(--;)有名芸術家の代表作と最高傑作は一致するかどうかというエッセイ。世の中では疑問を持つことさえ許されない権威ある芸術家及び作品への批評は新鮮でした。特にレオナルド・ダ・ビンチ本人とモナリザの章が。かなり面白い内容でした。第12章ディシャン「泉」から先が現代アートになるので苦手(--;)作品を作るだけでなく口の上手さも大事みたいな感じで。2015/06/18
P-man
2
ルネサンスから始まり現代アートまで、有名作・代表作は本当にそう呼ばれるのにふさわしいかを問う解説エッセイ書・・・なんだけど、全15章だが6章からは20世紀以来の作家で占められてるのでもうちょっと古典的な画家が好きなら肩透かしかも。とは言え個人的にはあまり馴染みのない・・・ぶっちゃけ敬遠してた現代アートの事も知れたのはまぁ良かったか。『泉』という便器は知ってたがそれを作った(と言っていいのか)デュシャンの名前は知らなかったくらいだし。彼以降今も芸術は斬新さを求め加速しているのだな。面倒なことに・・・(小声)2015/03/25
のぶ
1
私、他人の失敗を笑うのが好きなもので、こういう名前の本を見ると借りてしまうんです(性格悪い)。実際には(レビューで何人か書いてますが)名と実が一致してなくて、美術(主に絵画)の巨匠15人を題材に、彼の代表作とされる作品が本当に代表作なのかを論じている本です(おそらく私みたいな性格の奴を引き寄せるためにこんな書名にしたのですね)。いわば騙されて読んだ本ですが、面白い本でした。例えばばダビンチといえばモナリザだ、みたいなよく見る教科書的言説がいかにテキトーなものか、虚心坦懐に芸術を眺める発想法が学べる本です。2021/02/14