内容説明
近代国家・日本を作り上げるため、日本語廃止案をはじめ急激な国家改造に驀進した、初の文部大臣・森有礼。彼はなぜ憲法発布の日に刺殺されなければならなかったのか。妻との離別の本当の理由とは。そして犯人の驚くべき正体。―明治維新史に劇的な変更を迫る驚愕の物語。
著者等紹介
森本貞子[モリモトテイコ]
1925年、函館市生まれ。のち東京に転居し府立第一高等女学校卒業
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感想・レビュー
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キムチ
54
函館出身の筆者の人となりから、この本執筆の経緯を知り心惹かれた。分厚さに打ちのめされた‥が読み始めると「史実を間に挟むフィクション形式の叙述が好ましく、どんどんその世界に引き込まれた。もう、辺りは明治初期。冒頭、初代文部大臣森有礼の暗殺が起きる。理由はラストで明らかになるが、それが誤認から発したとは判明している。よくある狂信的思い込みの暴走なのか。メインに語られるのは常夫人と言っても英国での公務終了後の帰国間なしに2人の子を置き離縁となっている(幼き娘は他家へ養女に)その謎に迫る筆致は異論あるだろうが魅惑2020/08/15
neimu
5
殆どが森有礼関連の記事で、妻といっても前妻のことであり、後妻はわずか。どちらかというと、歴史上有名な人物の話を字でみるワイドショー感覚で読む感じ。事実とフィクション(会話などは特に)が織り交ぜられているので、小説とは言い難い。分厚い本の割には物凄くあっさり読み飛ばしてしまえるのは何故? 印象に残っているのが、黒田清隆が酔って帰宅し23歳の妻女を斬り殺したこと。女性がないがしろにされていた野蛮な時代。本筋からそれて読んでしまったのか、目立つのがそういう場面のせいか。2012/09/08
いくたやよい
1
森有礼という人物への興味で読んだ。18歳ぐらいで薩摩藩留学生として英国に学んだ彼は、西洋文明に衝撃を受け、日本語不要論まで一時は真剣に考えるほど影響される、欧米の女性重視(表面上は少なくとも)を目のあたりにして、自らも契約結婚したり、外交官として公式な場へ夫人同伴するなど欧米風の生活をする。文部大臣の地位にあるとき、伊勢神宮へ不敬な態度を取ったと誤解されて暗殺された森有礼の結婚生活が本当に民主的だったのか知りたかったために、この小説形式の森と妻、常の伝記風作品を読んでみた。2019/05/05
星落秋風五丈原
1
初代文部大臣にして大日本帝国憲法発布の日に暗殺された森有礼と、その美しさと語学力で外国人も魅了した広瀬常。おそらく日本初の契約結婚を遂げた2人は、なぜ11年後に離婚しなければならなかったのか。全くの3人称にしては句読点の打ち方が変。時々入ってくる主観は止めたほうがいい。2004/11/27
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- 和書
- 世界の客船 〈1993〉