内容説明
アスペルガー症候群の子どもたちは、ふつうの子どもがさほど混乱せずに対応できる日常のものごとに、例えばスケジュールの変更、言語表現、行動の理解などに、つまずきやすいこと、さらに、本人はそのことで人知れずつらい思いをしていること―これらのことを親や教師は、まず基本理解していることが重要である。その上で本書は、学校あるいは家庭で時として起こるパニックを中心に、その原因の探り方と対処法を、著者らの経験の蓄積をもとに教育の立場からまとめている。
目次
第1章 アスペルガー症候群の特徴と行動へのインパクト(認知と知的機能;言語 ほか)
第2章 パニックはなぜ起きる?その機能的評価(暴発行動のサイクル;パニックはなぜ起きる?行動の機能的評価)
第3章 自分に気づき、落ちつき、自己管理をうながす手だて77(スキル供与;状況の解釈 ほか)
第4章 親御さんの理解のために(原因についての共通理解;家庭内での組織的な協力 ほか)
著者等紹介
マイルズ,ブレンダ・スミス[マイルズ,ブレンダスミス][Myles,Brenda Smith]
1957年、米国カンザス州オレイサ市に生まれる。1989年カンザス大学を優等学位で卒業(特殊教育学専攻)。現在カンザス大学教育学部特殊教育学科准教授として、アスペルガー症候群、自閉症に関する大学院プログラムの指揮にあたる。米国アスペルガー症候群連合、非利益団体MAAPサービスなどをはじめとする、アスペルガー症候群や自閉症の青少年たちのニーズに応える数々の団体で特別役員を務める。米国の特殊教育関係の専門誌の中で3番目に発行部数のある「Intervention in School and Clinic」編集主幹。夫キース、9歳になる一人娘ヘイリーとカンザス州オーバーランドパーク市在住
サウスウィック,ジャック[サウスウィック,ジャック][Southwick,Jack]
1929年、米国アイオワ州に生まれる。1965年デンバー大学社会福祉学部修士課程修了。2001年に引退するまで、ミズーリ州カンザスシティ市のJoshua Child and Family Development Centerでソーシャル・ワーカーとして勤務、過去15年間、400以上ものアスペルガー症候群、トゥレット症候群、強迫性障害、注意欠陥・多動性障害などの神経障害の人やその家族の医療、教育相談・サポート、カウンセリングを担当した。数々のワークショップ、学会、セミナーで発表をし、現在カンザス大学社会福祉学部修士課程講師。妻と3人の子ども、6人の孫に囲まれ、読書、旅行、木彫を趣味とした生活を送っている
冨田真紀[トミタマキ]
1950年、東京に生まれる。早稲田大学文学研究科心理学専攻修士課程修了。1983年より東京都台東区松が谷福祉会館で心理技術として発達障害児の治療教育に従事。その指導方法を現場で模索している
萩原拓[ハギワラタク]
1968年、東京に生まれる。1991年立教大学文学部心理学科を卒業後、渡米。1994年メンフィス大学教育学部特殊教育学科修士課程修了。1998年カンザス大学教育学部特殊教育学科博士課程を優等学位で卒業。専門は自閉症スペクトラムの教育法。ことにテクノロジーを取り入れた教育法を専門とする。卒業後、同大学特殊教育学科でプロジェクト・コーディネータとしてブレンダ・マイルズと共に自閉症スペクトラムの研究、指導者養成に当たる。1998年より3年間、自閉症・アスペルガー症候群の教育アセスメント・チームの責任者として大学院生を指導。また、マイルズと共にアスペルガー症候群をはじめとする自閉症スペクトラムの総合的特徴を捉える研究を現在に至るまで展開しており、これまでの結果は論文で発表されている。現在、Interactive Collaborative Autism Network(ICAN)のプロジェクト・ディレクターとして、自閉症スペクトラムの教育法に関する情報を提供するウェブサイトを開発中
嶋垣ナオミ[シマガキナオミ]
翻訳家。1972年関西学院大学社会学部卒業。美術関係、ミステリー、ノンフィクションの翻訳に携わる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。