出版社内容情報
ポルトガルが発する摩訶不思議なエネルギーに誘われて,1年にも及ぶキャンプの旅は始まった。スペイン在住25年,旅絵師が見たポルトガル。
内容説明
イベリア半島の最西端、ポルトガルは海の国。日本との交流も古く、ヨーロッパで唯一、茶をCHAと発音する国でもある。潮風に晒された港町、栗の大木に覆われた山村は、どことなく懐かしい街並み…。ポルトガルが発する摩訶不思議なエネルギーに誘われて、1年にも及ぶキャンプの旅は始まった。旅絵師がみたポルトガル。
目次
幻のファド・レストラン
キャンプ場からの居酒屋通い
CH´AとCAF´E
路傍の人、漂泊の理
アラブのお姫様がみたアーモンド畑は
オリーブとバター文化圏の共存
市場(メルカード)のにぎわい
ピザとトップレス
村の華は巡礼祭(ロメリア)
大航海時代の申し子はいま〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
118
石井崇の画文集。ここでは「サウダージ」を郷愁のルビとして用いているが、文中にもあるように、この言葉の内包する意味範疇は広い。そして、ポルトガルはまさにファドのもの哀しい調べと「サウダージ」という言葉の似合う国。思えば、日本とポルトガルとのお付き合いは1543年にまで遡るほどに長い。当時ポルトガルは世界を2分する国だったが、今ではヨーロッパの西の辺境。それだけに「時の流れの忘れもの」といった郷愁感の溢れる魅力的な地ともなった。石井崇の絵も黄昏色の光景が多いのだが、それはやはりポルトガルに似つかわしいと思う。2014/03/31
yamareco51
2
女性誌FRAUの連載に加筆された内容。歴史と絡めた食べ物の記述が多い。女性誌らしくふわっと書かれている。2022/09/18
荏苒 byn
2
99年刊の水彩画ページと各地エセーのページが交互にある労作、B5大判。ほど近い南スペイン在住で、長旅キャンプで回った半端ない現地知識。カーネーション革命以来のポルトガルの回想と現況、一寸旅した程度の本とは、大違い。絵ページは、右下に見落す小さな文字の解説。随所に緻密に何種も描かれたポルトガル語入りの食品群 など、現地人でないとオーバースペックな図鑑並。値段はユーロになる前。文化歴史の目線も端々。実用的なようで、実用本で無い。日本人が書いた葡本中、趣味と愛着が最高ミックス。旅の参考より、じっくり生活派向き。2018/08/30