内容説明
現代における「知的革命」の担い手をよく見ると、その多くがユダヤ人であることに気づく。フロイト、ベルクソン、レヴィ・ストロース、マルクス、カフカ、シャガール、マーラー等、数えるに事欠かない。彼らの創造的な思想や芸術が生まれた理由は、各々特定の国に住みながら、ユダヤ人であることの根源的な「不安」を逆のエネルギーに変え、現実を鋭く見透かし、国境を超え、物事を、自由、柔軟に動的に考える態度を練磨してきたところにある。つまり思考の枠組みを習慣によらず、自在に変える能力をもっているからであろう。本書ではその意味も含めて、七人のユダヤ人思想家、芸術家を具体的に考えてゆく。
目次
序 ユダヤ的〈知〉とは何か
第1章 ユダヤ人フロイトのアンビバレンス
第2章 ベルクソン―時間と創造
第3章 レヴィ・ストロースと「文化」の概念
第4章 マルクスと貨幣
第5章 カフカと不安
第6章 シャガールと想像力
第7章 マーラーとウィーン世紀末