出版社内容情報
昭和3年から昭和6年まで。即位礼、満洲事変。理想に燃える若き昭和天皇の日々を記す、『昭和天皇実録』公刊本の第五。
『昭和天皇実録』は、宮内庁において平成2年より24年の歳月をかけ編修され、平成26年8月、本文60巻が天皇皇后両陛下に奉呈されました。
明治34年の御誕生から昭和64年の崩御に至るまでの89年間、「激動の時代」を生きた天皇の御事蹟、そしてそれにまつわる日本の政治、社会、文化などを余すところなく記述。
そこにはこれまで知られていなかった昭和天皇の生きた御姿とその時代が、生き生きと記されています。
・『昭和天皇実録 第五』(昭和三年~昭和六年)の内容
大正天皇の諒闇が明け、「昭和」という新時代への期待のなか、即位礼、大嘗祭の盛儀がおこなわれた。
しかし現実は内外ともに多難であった。
大陸では張作霖爆殺事件が発生し、処分をめぐり、昭和天皇は田中義一首相を叱責、内閣は総辞職する。
世界恐慌と金解禁断行による大不況、統帥権干犯問題などで国内が動揺、そして満洲事変が勃発する。
内容説明
大正天皇の諒闇が明け、「昭和」という新時代への期待のなか、即位礼、大嘗祭の盛儀がおこなわれた。しかし現実は内外ともに多難であった。大陸では張作霖爆殺事件が発生し、処分をめぐり田中義一首相を叱責、内閣は総辞職する。世界恐慌と金解禁断行による大不況、統帥権干犯問題などで国内が動揺、そして満洲事変が勃発する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
101
この巻は、昭和三年から六年までの出来事をきめ細かに収録されています。ただあまり当時としては大きな事件もないのですが、結構直訴もあったようです。また内閣人事や治安維持法改正に対してもご自分の考え方を持っていた、ということは普段から情報もよく気にしていたということなのでしょう。2016/04/15
ぐうぐう
22
『昭和天皇実録』第五は、昭和三年から六年の記録となる。激動の昭和だが、まだこの頃は比較的穏やかな時期と言えるのかもしれない。なので、こういう微笑ましい記述に目が行く。ボートを好む皇后が水泳をしないことを危惧し、裕仁と侍従が議論しているのだ。あと、南方熊楠の伝記には必ず出てくる裕仁への熊楠の講話のエピソードもちゃんと記されている。悲しい出来事としては、祐子内親王の逝去がある。あと、二ヶ月に一度くらいの頻度で直訴事件が起こっているのも印象的だ(昭和四年には、なんと若き児玉誉士夫が直訴している)。(つづく)2016/04/08
おおとろ|内省的ストーリーテラー
5
☆☆☆☆☆ 再読2023/06/03
もくもく
3
読了…というか、眺め終りました。昭和3年から6年の記録 有名な、南方熊楠による粘菌についての講話は、昭和4年6月1日、戦艦長門の艦上においてでありました。さすがに記載は一行だけで「キャラメルの箱に入った標本を献上された」というエピソードの真実は…書いてなかったです。(^_^) 世界恐慌、張作霖爆殺事件、浜口総理襲撃、そして満州事変…そんな時代でした。執務内容が淡々と記録されるページがずっと並び、昭和天皇ご自身のお言葉・ご発言の記録は極端に少なくなっている感じです。2016/04/19
しびぞう
2
本巻のハイライトは理研で作った人造酒を晩餐の席で高橋是清と若槻礼次郎に供したことだろうか。昭和天皇のお人柄が偲ばれて不謹慎ながら爆笑してしまった。千頁近いので途中でおやつを食べたくなることしばしだったのだが、食べようとするとなんとなく明治生まれの祖母の「不敬な!」という声が空から聞こえるような気がして、口にするのはお茶にとどまった。2016/05/18