内容説明
すべてを包容して生かす教え、『金光明経』『理趣経』『大日経』。護国の経典と真言密教の根本経典。
目次
第1章 正しい法で国を護る―『金光明経』
第2章 密教へのいとぐち
第3章 真言密教の奥義―『理趣経』
第4章 輝かしき実在―『大日経』
第5章 密教の衰退と伝播(インドで仏教が滅びたわけ;末期の仏教)
付録(真言密教の比較思想史的考察;諸仏の変容と明王の出現―真言密教の体系化)
著者等紹介
中村元[ナカムラハジメ]
1912年、島根県松江市に生まれる。東京帝国大学文学部印度哲学梵文学科卒業。東京大学名誉教授、東方学院院長、比較思想学会名誉会長、学士院会員などを歴任。文化勲章受章。1999年逝去
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感想・レビュー
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全ては大日如来の現れであり、人間の欲も含めて元来神聖なものである、という考えがタントリズムに繋がって滅びたという過程が面白い。タントリズムはおぞましいと思うが、理屈は納得できるので堕落するからといって否定する論理が思い付かない。しかし人間の欲望の全てを肯定すると秩序が乱れて社会は自然に崩壊するというのが暗示的で良い。日本は特に八百万の神を崇めており、大日如来を受け入れやすかったのではないかと思う。また、全ての宗教は形が違うだけで同じ目標を持つという考えは納得でき、世界中で同様の考え方があったことに驚いた。2021/07/15