内容説明
原発事故で土地を追われて、避難先では白眼視に遭い、ふるさとも、生活の場も、「ことば」さえも失った人々…。彼らはこれから、どこでどう生きるのだろう?あれからの3年余―語らぬ人々の「心の声」を追い続けてきた著者渾身のノンフィクション!
目次
序章 消し去られた村
第1章 三十一文字の予言
第2章 二〇一三年秋、会津若松
第3章 ふるさとに“近くて遠い”町で
第4章 「原発の町」を築いた親子
第5章 「チベット」と呼ばれたころ
第6章 失われた命のメッセージ
第7章 ふるさとを後世に刻む
終章 二〇一四年春、大熊びとの声
著者等紹介
三山喬[ミヤマタカシ]
1961年、神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。98年まで13年間、朝日新聞記者として東京本社学芸部、社会部などに在籍。のちに国家賠償請求訴訟となるドミニカ移民問題を取材したのを機に移民や日系人に興味を持ち、退社してペルーのリマに移住。南米在住のフリージャーナリストとして活躍した。2007年に帰国後はテーマを広げて取材・執筆活動を続け、各紙誌に記事を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
17
事故によって離散した福島県大熊町民を訪ねあるいたルポ。東電さんのおかげで潤った原発立地町という、なんともこう、やるせなさがひしひし伝わる。テレビとかだと、ふるさとに戻りたい田舎の純朴な老人的な絵が多いような気がするけど、実際震災前の大熊町は都会の人が思い描くようなど田舎じゃあなくて、過疎や高齢化とは無縁の「垢抜けた」町だったという。マスコミが伝えない絵にならない、けど重い心の声。知らなかったこといっぱい。2015/03/05
竹園和明
4
良くも悪くも原発に翻弄された福島県大熊町と、その大熊町に暮らし原発事故により町を追われあちこちに離散した町民たちの暮らしと心情を追った渾身のルポである。かつては産業すら興らない痩せた町だった大熊に、一部の政治家と電力会社の思惑によって原発が誕生。そして驚くほど急速に町が発展。しかし原発事故により町民は離散。さまよえる町民たちに容赦なく降りかかる罵詈雑言と、政治家と東電の冷淡な対応に怒りと疲弊が蓄積されて行く。故郷と未来を奪われさまよう人々の想いとはー。諦念の中で生きる人々の生の声が深く深く胸に突き刺さる。2015/02/01
yuki
2
「足尾銅山鉱毒事件」と「フクシマ」…この「つながり」に気づかされました。人々の言葉のもつ重みに押しつぶされそうになります。でもこれもこの国の現実であることがひしひしと伝わってきます。2018/08/13
Cazuo Tanaka
1
冒頭「消し去られた町・谷中村」の事件説明から入っている。足尾銅山事件の話だ、足尾銅山の話は知っていたが、消し去られた町があったことは知らなかった。著者は、大熊町の町民の声を書いてる。「大熊町」と「谷中村」を重ね合わしている。訴えたいのは国策は学習していない。しかし、大熊町民は、国策に左右されながらも生きていくしかない。切ないね!2015/03/03
DEN2RO
0
福島の原発事故で全町避難となった大熊町を曝心地としてとらえ、各地に離散し、未来を失った1万人余りの人々の心と生活を伝えようとしたノンフィクション。それぞれの場所で生きる人々に話を聞く中で、原発以前、原発の日々、現在の大熊の人々の姿が浮き彫りにされます。2015/02/07