内容説明
フィンランドの教育改革は、ないないづくしで世界一の学力を実現した。一方、詰め込みとテストの繰り返しで築かれる日本の学力は、過去問だけに終始して考える力を奪い、挫折と絶望を強いている。このままでは日本の子どもたちを待ち受けるのは、グローバル化する国際社会の「落ちこぼれ」だ。フィンランドと日本の学力の決定的な違いとは何か。
目次
取り残される日本(OECD事務総長のメッセージ;学力は変化するもの ほか)
PISAショック(幕末に匹敵する岐路に立つ日本の教育;揺れ動いた日本の教育 ほか)
フィンランドを「世界一」にした教育(基幹産業の転換に成功;徹底した癒着の根絶 ほか)
競争を強いる教育が生んだもの(「旭川学力テスト裁判」判決文;テストと入試のためにだけする勉強 ほか)
日本の教育改革のために(政治家・行政・教師・保護者はどうあるべきか)(政治家による素人管理の弊害;行政は条件整備のプロであるべき ほか)
著者等紹介
福田誠治[フクタセイジ]
1950年、岐阜県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。都留文科大学助教授を経て同大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りょうみや
18
著者のフィンランド教育本5冊目。著者のフィンランド本の中では一番コンパクトでわかりやすくフィンランドの教育哲学と日本との差異がまとまっているように思える。最近は日本の教育を見直す系の書籍も増えてきたが、本書で「変革のモデルはフィンランドをおいてない」と言うように、まずはフィンランドを参考にするのが一番明確。上辺だけでなく教育哲学のレベルで。2019/03/20
がっち
2
日本の詰め込み教育によい、悪いと二つに分かれるだろうが、フィンランドの勉強の仕方は学ぶべきところがあると思う。これは高校生までの勉強じゃわからないだろうけど、大学に来て実感している。自分で興味あることを研究するというところまで昇華させる必要があると思う。詰め込み教育は勉強だが、それを研究というところまで昇華される教育がないのが今の日本である。2012/01/27
ばんぶー
1
子育てでは自分自身の価値観を絶えず点検することが必要です。この本では個人のことにとどまらず、日本の未来がそこにかかっているような、大変な事業であることを感じました。私にとっては衝撃的でした。2011/08/29
motoryou
0
何度読んでもいいな。そうだよなあ、納得できる。2013/12/14
鵜殿篤
0
本書が出版された2008年は、いわゆる「学力低下」に関する論争が一段落し、詰め込み型の学力観が一定程度の勢力を確保していた時代だった。そんななか、本書は旧来の学力観を徹底批判し、「未来の学力」の旗印を掲げる。だから、口ぶりも過激に流れがちになるのも、無理はないような気はするのだった。 とはいえ、2019年現在の地点から見れば、著者の考え方が勝利を収めているように見える。文科省はOECDのほうばかり見ている。 本書は、学力低下論争の最中に投じられた一石として、十分に役割を果したということかもしれない。2019/10/12