内容説明
カジカ上科魚類に関する生物学的知見を網羅。分類学的にどのような特徴を持った魚類が『カジカ』であるかの解説から、系統、生態、行動、生殖生理、保全などの知見を集積する。
目次
第1部 カジカ類の多様性と進化(カジカ類の種多様性と形態進化;淡水カジカ類の分子系統と生活史進化;バイカルカジカ類の形態的・生態的適応とその種分化;生態進化から見たカジカ類の適応放散とそのプロセス)
第2部 カジカ類の生殖生理における多様性(カジカ科魚類の雄における生殖関連形質の多様性―交尾型への適応;カジカ類における異型精子の分化機構と機能;淡水カジカ類の異型精子の機能とは?)
第3部 カジカ類の生態と行動(河川性カジカにおける繁殖・生態多様性と保全;雌が卵を守る交尾型カジカ類の繁殖生態―堅気な母性と気ままな父性;海産カジカ類における子の保護、卵サイズ、卵塊構造の進化;降河回遊性ヤマノカミの生態とその保全)
著者等紹介
宗原弘幸[ムネハラヒロユキ]
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター臼尻水産実験所。1958年北海道生まれ。北方系沿岸魚、特にカジカ類とアイナメ類の繁殖生態と進化について、行動観察や分子マーカーなどを用いて研究している。秋は実験所前浜で見つかったアイナメ属雑種の調査、それ以外の季節はカジカ類全種の遺伝子分析用試料の収集に執着している
後藤晃[ゴトウアキラ]
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター(現:北海道教育大学函館校)。1947年大阪府生まれ。専門は淡水魚類の生態学、進化学、分子系統解析と生活史形質情報に基づいて河川性と淡水両側回遊性の姉妹種における種分化と生活史進化の解明、および河川生態系の復元と希少魚類の保全に関する研究に取り組んでいる
矢部衞[ヤベマモル]
北海道大学大学院水産科学研究院・教授。1952年静岡県生まれ。専門は魚類の系統分類学・形態学で、カジカ類をはじめとする寒冷水域に生息する魚類を対象に研究を進めている。国内はもとよりロシア沿海州、サハリン、千島列島などでも調査活動を続け、現在までにカジカ類の新種を14種発見し、命名・記載した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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