内容説明
「文化の発展に果たしてきた数学の役割」を数学者ならではのアプローチで読み解くシリーズの最終巻。西洋では、15世紀前半にブルネレスキによって確立された「数学的遠近法」によって、見取図法に依存せずに俯瞰図を描くという歴史的発展をとげた。それに対して同時代の中国・日本では、円熟した「見取図法」を用いて空間を描いていた。両者の比較をはじめ、ステンドグラスの画法や中国の三大石窟の彫刻・壁画についても述べる。
目次
第1章 ジョットからブルネレスキへ―見取図法から数学的遠近法へ(ジョット作「聖痕を受ける聖フランチェスコ」と対面して;ベネチアグラス論争;アッシジ(Assisi)を訪ねて
ブルネレスキの確立した数学的遠近法)
第2章 卍崩しと裳裾垂れ―飛鳥と中国と(卍崩しの勾欄;坐像の裳裾垂れ)
第3章 飛天=舞妓、伎楽天=楽師、そして胡旋舞―雲岡石窟・龍門石窟・敦煌石窟から(雲岡石窟・龍門石窟の「眷属」、「伎楽天」、「飛天」;仏教普及までの絵画と彫刻;敦煌石窟の飛天と胡旋舞)
第4章 ステンドグラスの発展―「定式画」から「遠近法的写実主義」まで(「定式画」と「立面図的遠近法」;「木偶人形」から「写実画」へ;「事態象徴画」から「写実画」へ;「数学的遠近法」の採用;「遠近法的写実画」の発展―ルマンとポワティエにて)
第5章 遠近法と見取図と―コンパクトと連続と(「画題を三次元空間の存在として、印象的に表現する」数学的遠近法―「数学的遠近法」による「コンパクト画」;「長大な絵画を三次元空間の存在として連続的に表現する」見取図法―「見取図法」による「連続画」)
著者等紹介
横地清[ヨコチキヨシ]
1922年愛知県生まれ。1945年東京文理科大学数学科卒業。北京師範大学客員教授・内蒙古師範大学科学史研究所客員教授・東北師範大学客員教授。和光大学教授・山梨大学教授・東海大学教授・華中科学技術大学客員教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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