出版社内容情報
北斎の《海女と蛸》で春画にのめり込んだ普通のOLが、ユーモラスかつ知的に春画愛を書く。
集め、愛で、調べ、人生が豊かに。
美術品をめぐる冒険。
美術品蒐集は富裕層だけのものじゃない。
市井を出回る作品の汚れには、作品を愛でてきた人たちの想いや人生が詰まっている。
誰も注目してこなかったポイントから想像力を深めれば、知りたくなり、教養が深まる。
自分なりの楽しみ方が見つかれば、美術鑑賞は人生を豊かにしてくれる。
注目の春画コレクターによる初の著書。
内容説明
「わたしなり」が愉しい、春画の世界をご案内。春画を愛で、調べ、遊びつくす、知的冒険エッセイ。
目次
第1章 欲しい、欲しい。お金がなくても、春画が欲しい…。―集める(OL、春画を買う。;切ない恋心とミニチュア春画。 ほか)
第2章 江戸時代のハウツー本に、性を学んでみたんです…。―読む(もっと、気持ち良くなるために。;やさしく、奥深く、くじる。 ほか)
第3章 遊びつくして…。見ているだけじゃ、もの耐りなくて。―発展する(蝋燭で照らし出された夜。;都々逸で春画の恋をうたう。 ほか)
第4章 もっと…、深く…。春画の世界が知りたくて。―調べる(「かわいい」オトコはダメなのか?;擬人化された性行為と「わらい」。 ほか)
著者等紹介
春画ール[シュンガール]
1990年、愛媛県生まれ。2018年より「春画ール」の名で活動をスタート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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あっか
65
新刊コーナーで発見して興味本位で買ってしまったんですが笑、いやー想像以上に面白くしかも学び深き1冊でした!本のタイトル・春画ールさんという著者名・章題から軽い感じに見えますがとんでもない!春画ールさんの語り口が軽妙で時々クスッと笑えつつも(空中ブランコの体位は声に出して笑ったw)、本当に春画愛が伝わってくる再現や深掘りも多いです。こういう観点から歴史を学べるのも楽しい!載ってる春画は春画ールさん所有の物なので若干少なめだけど、美術書を読む楽しみも生まれそうです。カバーが和紙なのも可愛い。2021/04/15
アカツキ
11
春画にハマったOLさんが春画、江戸時代の性のハウツー本、道具について語った本。エッセイのような軽い語り口で読みやすく、著者の率直な感想に笑った。当時の道具や秘薬を作ってみようとする探究心も凄い。驚いたのは野菜のずいきに性具用のものがあるということ、食用でもきちんとアクを取らずに口に入れたらどんなヒドい目に遭うか。今後調理する時はめっちゃ気を配ると思う。2021/09/13
チョビ
5
ある日いきなり春画にハマった(結構美人そう)アラサーOLの体とお金のかかった私的研究本。語り口は軽いが中身は結構胃もたれするぞ、な詳しさ。「そんなにお金かかってないしー。」といいつつ、その安さ故に失敗してもただでは転ばない。その深い愛はスンバラしい。いやマジで、漢文が苦手なくせに東洋史を専攻し、学芸員資格のために取った古文書学C(生そば読めませんでした…)だった私には眩しい…。2021/06/11
skr-shower
4
ブックカフェの返却棚で。立ち読みで。アマチュアで5000円位から豆本で、浮世絵の楽しみ方としては良い感じですが春画を選ぶとは推し愛がすごい。春画展も女性がいっぱいだったし、明るく楽しめて良いですよ、私も楽しみました。月岡芳年が落丁だったら、ショックで立ち直れない…地元の図書館は購入してくれるだろうか?2021/05/24
fumi
4
アマチュア春画愛好家の著者が、春画やそこに書かれた江戸の性事情の面白さを等身大の目線で語った書。門外漢でも、極めてなくても、趣味に没頭するのは楽しい!っていう当たり前のことを思い出させる自由闊達な文章も好感度が高い。私も収録された図版の中のくずし字を読みたくて、久しぶりにくずし字アプリを起動した。月岡芳年や「蛸と海女」が好きなのも勝手に親近感を感じてしまう(「俄」あるあるかもしれないが…)。性具とかエロ絵の技法とか、科学が進歩しただけでアイデア自体は200年前から不変なんだよなあ、人類…と妙なとこで感心。